閉店間近?と噂される「星野百貨店」を舞台に、エレベーターガール、新人コンシェルジュ、フロアマネージャー、テナントスタッフ、そして、創業者の一族が、それぞれの立場で愛する百貨店を守ろうとする姿を描いた連作集。
舞台となる百貨店は、「コンビニたそがれ堂シリーズ」などで登場する風早の街。大好きなシリーズと繋がっているだけあって、優しく温かい物語でした。でも、それだけじゃなく辛口な部分もあってピリリと効いている。泣いたり、笑ったりしながら、どうか奇跡が起きますように、みんなが笑顔になれますように、と願わずにはいられませんでした。
百貨店で働くだれもが大好きな職場で、従業員を大切にする経営陣のエピソードを読むと、物語の世界なのに「こんな職場で働きたいなぁ・・・」と羨ましく思ってしまいます。でも、羨ましがってばかりじゃ何にも変わらないんですよね。少しでも自分にとって居心地の良い居場所を作れるように頑張るとか、そこはもうスッパリ割り切るとか、そういうことが必要かなぁと思います。
で、そんな風に過ごしていると、知らず知らずに心をすり減らしてしまう。そういう時、こういう物語に触れると、ボロボロ泣いてスッキリした気持ちになれたり、ちょっぴり心がほんわかとなって「明日もがんばろ!」という気力を貰えたりする。そういう意味では、村山作品というのは私にとって「心のビタミン剤」のような存在なのかなと思います。
作品の中にオッドアイの白猫ちゃんが登場するんですが、登場する度に、4年前に虹の橋を渡った我が家の猫を思い出して、ついつい涙腺が緩くなってしまいました。会いたいなぁ・・・。この物語のように、ひょっこり姿を見せてくれないかなぁ。そんな思いが募って、ちょっぴり切なくなってしまいました。
最後は、ちょっと知りきれトンボみたいになってしまって「えー!ここで終り!?それはあんまりだーっ!!」と思っていたら、どうも続編が出るみたいですね。良かったぁ・・・。
(2018.01 読了)
2018年08月29日
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