2017年08月24日

星に願いを、そして手を。(青羽悠)

小説すばる新人賞受賞作。

16歳の現役高校生というのは史上最年少の受賞なんだそう。
・・・これを16歳男子が書いたのか!そうか、それはスゴイなぁ・・・。だって、このお話って、中学生も登場するけど、大学を卒業して就職したその後の彼らがメインのお話なんですよね。16歳で20代後半の人たちをメインにしたお話を書くという、もう、それだけで、スゴイなぁと思っちゃいます。まぁ、作家さんって、そういうものなんでしょうね、きっと。

中学生のとき、町の科学館に入り浸り、宇宙への夢を抱いていた祐人、薫、理奈、春樹の4人。幼馴染の4人が、それぞれ高校生、大学生となるにつれ、その夢を追いかけることが難しくなる。祐人は夢を諦め、東京の大学を卒業後は地元に戻って公務員となった。薫は科学館に勤め、春樹は実家の電気店を継ぎ、ただ一人、理奈だけは大学院に進み宇宙への研究を続けていた。それぞれの道を歩んでいた彼らが、館長の死を機に再び集まることになるが・・・。

幼馴染の4人を中心に、「夢」を諦めた人、叶えられなかった人、追いかけてる人たちの葛藤や複雑な思いが絡み合って、その重さに胸が詰まる。出来ることなら、みな、夢を追いかけていたいだろう。でも、それを出来るのは、ほんの一握りの人たちというのも現実で。私にもあった、そんな気持ちに思いを馳せながら読んでたら、胸が詰まってきました。

死んだ館長にも、秘めた思いや過去があって、それが明かされた時、もうね、堪らない気持ちになった。みんなの想いが痛かった。

でも、最後はみんなが前向きに一歩を踏み出す姿にホッとしました。出来ることなら、館長が亡くなる前に・・・と思えてならなかったけれど。でも、亡くなったからこそ、というのもあるんだと思うし。そんなことを考えて、ちょっぴり複雑な気持ちにもなりました。

じんわり心に沁みる良い物語でした。





(2017.06 読了)






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ラベル:読書 著者(あ)
posted by すずな at 11:35| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こちらにもこんばんは。
16歳が書いたなんて思えなかったですよね。
20代半ばの色々思い悩む時期をどうしてこうも上手く書けるのか。才能なんでしょうかねぇ。まさか自分で経験しているわけではないですし^^;
皆が集まったことで皆が前を向いてこれから歩んでいけそうな気がして、じんわりと温かい気持ちになるお話でした。
でも、もう少し早かったら…と思わなくもなくて。そういう揺れる感情にさせるのもうまいですよねぇ。
Posted by 苗坊 at 2017年08月24日 21:23
>苗坊さん
16歳で、なんでこの物語が書けるか…って思っちゃますよねぇ。凄い16歳ですよね!
どうなるかと思いましたが、最後はみんなが前を向いて歩いていけるラストで良かったなぁと思えましたね。
Posted by すずな at 2017年08月26日 04:10
遅ればせながら。
たしか「王様のブランチ」で紹介されてて、それからすぐに読みました。
うちの息子と同じ歳なんですよねー。
読書感想文書くのにもひーこら言ってるのに同じ歳の子がこんな小説かけるなんてすごいって思いましたもん。

今後が楽しみな作家さんですね。
Posted by あいぴょん at 2017年10月21日 15:48
>あいぴょんさん
息子さんと同じ歳なんですね!16歳男子なんて、みんなそんな感じですよ~。

次作を読んでみたい!と思わせる作家さんですね。
Posted by すずな at 2017年10月23日 12:35
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