2017年07月15日

まことの華姫(畠中恵)

江戸を舞台に、姫様人形が活躍する連作短編集。

お華は江戸両国の見世物小屋で評判の姫様人形。可憐な仕草を操り、一人二役で語るのは芸人の月草。そんなお華が”真実を語る”と評判になり・・・。

「しゃばけ」と同じ江戸を舞台にした謎解き話でしたが、主人公が姫様人形ということもあって、また違った趣がありました。まぁ、お華を主人公と言っていいのかどうか、ちょっと迷うところではあったんだけどね。1話目に登場したお夏が、お話の最後まで関わってきて、どっちかというと、お夏の方が印象的には強かったような気もします。まぁ、お華は、月草が操っているお人形ってこともあったからね。

そうそう。最初にあらすじを読んだ時には、”喋る姫様人形”ということで、「しゃばけ」のように妖が関わっているのかと思たんですが、そこは違ってました。腹話術のように人間が操るお人形で、実際にお華が自由に喋り出すってことではなかった。・・・ちょっと残念。

真実を口にすると評判になった華姫の元には真実を知りたいと願う人々が次々と訪れる。姉を殺したのは実の父かもしれないと疑う娘(お夏)、大火事で行方不明になった子供を捜し続ける夫婦、行方知れずになった義兄を探しに西国からやってきた若旦那などなど。人形が本当に話す筈がないと分かっていても、人は何かに縋りたい時がある。そんな人々が知った真実は、厳しく、辛く、切ないものが多かった。それでも、真実が明らかになったことで、それぞれが一歩を踏み出すキッカケになったのは良かったんじゃないかと思えました。

最後のお話は、お華を操る芸人、月草の過去。なんとも切なく、後味の悪さを感じさせるものでしたが、それでも、月草が両国にとどまる決心をしてくれたのは良かった。

・・・ってことは、続編があるのかな。華姫の毒舌やお夏とのやりとりが楽しかったので、楽しみに待っていよう。





(2017.06.12 読了)





まことの華姫
KADOKAWA
2016-09-28
畠中 恵

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ラベル:著者(は) 読書
posted by すずな at 15:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。
何だか不思議なお話でした。
事件の真相を語るのは人形なんですけど、本当に生きているようでその元々が男の人って言うのが読んでも読んでも想像できなくて^^;
そしてお夏の印象が強いですね。続編があるならまた出てきてほしいです。
「ときどき旅に出るカフェ」今日図書館で借りたんですよ~^^読むのが楽しみです。
Posted by 苗坊 at 2017年07月25日 19:25
>苗坊さん
あ~分かります!時々、お華は人形だということを忘れそうになりましたよね^_^;
私もお夏の印象が強かったので、続編があるなら、是非とも出して欲しいです!

「ときどき~」の感想、お待ちしてます~(^^)
Posted by すずな at 2017年07月26日 12:37
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