ピカソの描いた「ゲルニカ」を巡る物語。
アメリカのイラク空爆前夜、国防長官の会見が行われた国連本部のロビー。そこにあった筈の「ゲルニカ」のタペストリーには暗幕がかけられていた。誰が隠したのか・・・。
読み応えがあった。夢中で一気読みしてしまいました。
現在と、ピカソがゲルニカを描いた過去を行き来しながら物語が進んでいく。タペストリーが隠されていたのは事実。ピカソがゲルニカを描いたのも事実。でも、現在の主人公である瑤子は架空の人物で。読み進めていくと、どこまでが事実でどこからが虚構なのか分からなくなる。すべてが事実だと言われても頷けるような説得力のある物語でした。
ただ、物語としては、著者の反戦への気持ちやピカソへの想いが強すぎるようにも思えて、多少の戸惑いも感じたのも事実。だからこそ、ノンフィクション?という思いも沸いてきたのかなぁと思います。それがよかったのか悪かったのかはわかりませんが、個人的にはとても楽しめたので、良し!に1票かな。
(2017.03 読了)
2017年05月06日
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暗幕のゲルニカ
Excerpt: 原田マハ 2016 新潮社 これはなんという小説か。闘いなさい、と青ざめる主人公に声がかけられる。ものの100ページも読まないうちに、鳥肌が立った。 本当にあった出来事をもとに書かれている。イラク空爆..
Weblog: 香桑の読書室
Tracked: 2017-05-12 12:19
つい最近、バスク祖国と自由が武装解除したというニュースを聞いたとき、真っ先に思い出したのがこの本でした。
迫力あったね。思わず、これフィクションだったよね?と確認しちゃったくらいでした。
海外にしろ国内にしろ、ニュースを見て思い出す本ってあるよね。思い出すというか、ゾッしたりもするけど…。