北関東の小さな集落の民家の壁に描かれた子供の落書きのような絵の数々。ネットで話題になりノンフィクションライターの鈴木はその絵を描く伊苅に取材を試みようとするが・・・。
1章の集落の壁に描かれた絵やそこを訪れる人々の様子から始り、2章以降で、伊苅の過去がポツリポツリの語られていき、最後に、ようやくここまで辿り着いたよ・・・という気分になりました。
読んでる間中、なかなか伊苅の心情が掴めなくて、なんというかね、もどかしいというよりも、多少イラッとしちゃったりもした短気なワタクシであります。中だるみということではないんだろうけど、挫折しそうにもなってしまったのでした。でも、最後はね、「うわ、そういうことか!」と衝撃を受けつつ、挫折せずに読了出来て良かったなぁと思いました。
子どもっぽい稚拙な絵を描き続ける伊苅。それを容認する近所の人々。読み進めると彼らの気持ちがじわじわと迫ってきて、切なくなりました。重い、重い過去。伊苅はこれからも壁に絵を描き続けるのだろうか。そう思うと堪らない気持ちになります。
(2017.02 読了)
2017年05月06日
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