市内屈指の弱小サッカーチーム「牧原スワンズ」の中でも、公式戦で一勝どころか一点も取れていない四年生チーム。そのチームで頑張る子供と、そのチームの活動を手伝う父親たちの姿を描いた連作短編集。
監督の方針もあって、弱小チームだからといって卑屈になる訳でもなく、楽しそうにサッカーに興ずる子供たちの姿に、読んでいて心が弾みました。もちろん、勝負にこだわる気持ちを持つことも大切だと思うけれど、まずは、その競技を楽しんで好きになるのが一番だもんね。
そんな子供たちだったけれど、一方、父親たちはというと、みんな様々な悩みや鬱屈を抱えていて、子供たちとは対照的。妻とすれ違いの日々を送っていたり、サッカー選手への夢を諦めた過去を持っていたり、仕事上の悩みを抱えていたり。そんな彼らが、子供たちとのサッカーを通じて、一歩前へと進み始める姿に、ちょっとね、ウルッとなりました。もちろん、そんな単純に解決できることばかりではないけれど、それでも、少しずつ心のありようが変わっていくのを感じられるたびに、読みながらすごく嬉しくなりました。
そして、今年最後の公式戦。子供たちは、とある事情から、なんとか一勝をもぎ取ろうと必死になる。子供たちは子供たちなりに考え、迷い、頑張って・・・最後は本当にドキドキしました。
そうそう。プロローグで意味がよく分からなかったところがあったんだけど、最後まで読むと「あ、そういうことか!」と嬉しくなって、もう一度、プロローグに戻って読んでしまいました。
お父さんの頑張る姿、そして、子供たちの頑張る姿に胸を打たれ、暖かい気持ちになれるお話でした。
(2017.02 読了)
2017年03月01日
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください
この記事へのトラックバック