2017年03月01日

Good old boys(本多孝好)

市内屈指の弱小サッカーチーム「牧原スワンズ」の中でも、公式戦で一勝どころか一点も取れていない四年生チーム。そのチームで頑張る子供と、そのチームの活動を手伝う父親たちの姿を描いた連作短編集。

監督の方針もあって、弱小チームだからといって卑屈になる訳でもなく、楽しそうにサッカーに興ずる子供たちの姿に、読んでいて心が弾みました。もちろん、勝負にこだわる気持ちを持つことも大切だと思うけれど、まずは、その競技を楽しんで好きになるのが一番だもんね。

そんな子供たちだったけれど、一方、父親たちはというと、みんな様々な悩みや鬱屈を抱えていて、子供たちとは対照的。妻とすれ違いの日々を送っていたり、サッカー選手への夢を諦めた過去を持っていたり、仕事上の悩みを抱えていたり。そんな彼らが、子供たちとのサッカーを通じて、一歩前へと進み始める姿に、ちょっとね、ウルッとなりました。もちろん、そんな単純に解決できることばかりではないけれど、それでも、少しずつ心のありようが変わっていくのを感じられるたびに、読みながらすごく嬉しくなりました。

そして、今年最後の公式戦。子供たちは、とある事情から、なんとか一勝をもぎ取ろうと必死になる。子供たちは子供たちなりに考え、迷い、頑張って・・・最後は本当にドキドキしました。

そうそう。プロローグで意味がよく分からなかったところがあったんだけど、最後まで読むと「あ、そういうことか!」と嬉しくなって、もう一度、プロローグに戻って読んでしまいました。

お父さんの頑張る姿、そして、子供たちの頑張る姿に胸を打たれ、暖かい気持ちになれるお話でした。


(2017.02 読了)




Good old boys
集英社
本多 孝好

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ラベル:著者(は) 読書
posted by すずな at 12:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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