国際ピアノコンクールを舞台に、才能溢れるコンテスタント(演奏者)達の姿を描いた物語。
500ページを超える分厚さに加えてページを開くと2段組!それを目にした瞬間、思わずクラクラ~っと目眩がしましたよ(笑)果たして無事に読み終えることが出来るのだろうか・・・と不安が過ぎったのが正直なところ。ところが!読み始めたら、もうね、止められない止まらない!状態でして。一気に読了しちゃいました。とはいえ、さすがに一晩では無理で2日がかりでしたけどね。いや~面白かった!
養蜂家の父と各地を転々としながら暮らしている16歳の風間塵。天才少女と呼ばれながら母の死を機にピアノから遠ざかっていた20歳の栄伝亜夜。ジュリアード音楽院学生でコンクールの本命である19歳のマサル。音大出身で楽器店で働く28歳の高島明石。この4人が織り成す音(ピアノ)の世界。
すっごかった。
文字を追っているのに、演奏が聴こえるようで、私も一緒に彼らのピアノの音に酔いしれることができました。ピアノ演奏を聴いて景色が広がる、目の前に次々と様々な景色が広がっていく。どうしたら、そんな風にピアノを聴けるんだろう。私には無い感性。なので、想像するのも難しいと思うんだけど、読んでいると、私の目の前にそんな景色がふわぁ~っと広がってピアノの音が頭の中を満たしていくようでした。とても心地よく、ワクワクして、ドキドキして、もうね、うっわぁーーーーっと感情が高ぶっていくんですよ。”読書”ではなく、”演奏”で大興奮してる!と、思わず勘違いしちゃいそうになるくらいでした(笑)
物語は予選から始まる。それぞれのピアノ演奏の描写もですが、審査員の思いも描かれていて、それも興味深く面白かった。そして、コンテスタント達を取り巻く人々の想い。コンクールに出場する人だけじゃなく、彼らを取り巻く人々、関わる人々にとっても大きな出来事で、人生を左右することもあるんだなぁと思いました。
予選から本選へと進むに連れて、誰かの演奏が他の演者の演奏を変えていく。お互いが共鳴し合い、刺激し合い、どんどんと深く広く高く膨らんでいく。こういう関係っていいなぁとしみじみ思いました。
お話はコンクールで終わったけれど、彼らの10年後、20年後、30年後・・・と、ずーーーっと追いかけていきたい、どんな関係を築いていくのだろう、どんな演者になっていくんだろう、そんな気持ちにもなりました。恩田さん、続編を書いてくれないかなぁ・・・。
最近の恩田作品はラストで拍子抜けさせられることが多かったんだけど、この作品はそんなことはなく。読んだ後の充実感が半端なかった!
本当に面白かった!大満足!!
(2016.11 読了)
2016年12月29日
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この作品良かったですよね!私も分厚さに慄いて読めるのか?と思いましたけど、読み始めたら止まらなくて同じく2日で読み終わりました^^
本当にコンクールでピアノを聴いているようでした。音楽が聞こえてくるようでしたよね。流石恩田さんだなぁと思いました。
確かにこの作品の10年後20年後30年後も見てみたいです。このコンクールに携わった人たちがどんな人生を歩んでいるのか知りたい気がします。
本当に素晴らしい作品でした^^
この分厚さには慄きますよねぇ(^-^;でも、そんな不安は読み始めてすぐになくなりましたね。すっごく面白かったですね!
文字を読んでるのに、音楽が聞こえてくるようで、興奮しましたよね~。恩田さんには唸らされました。
いつか、その後の彼らに再会できるといいですね!この後、どんな人生を歩んでいくのか気になります。。。
すっごかった。面白かった。
本当に自分もコンクールで音楽聞いて見える景色を体感してる気分だった。
私も続編希望です‼
私、読書中にすっごいミスしちゃって。
本選の章に入る前に「全部で何ページあるのかなー」て最後のほうパラっとめくった拍子に最終ページの審査結果見てしまっちゃったの。
もうガビーンでした。
普段は推理小説の犯人ばらされても、全然平気なくらいネタバレOKなんだけど、この本は一緒にコンクールを最後までドキドキしながら体感したかったなー。残念(笑)
でも明石くんの受賞がわかった後だったのが救いかな。
全キャストで明石くんが一番お気に入りでした♪
お~読みましたか!
すっごかたですよねー!面白かったですよねーっ!
そして、その後の彼らの姿も読んでみたいですよね!続編、本当に出ないかなぁ・・・。
あ~途中で審査結果が見えてしまいましたか^_^;それは確かにガビーンかも。。。
明石くん、私も好きでした!なので、電話を受けたシーンでは思わず涙ぐんでしまいました。
読みましたよ!!
新年の約束をようやく果たすことが出来ました!!!
いやあ、とってもとっても良かったです!!!
直木賞の選評が(肯定側も否定側も)
これまたまた面白いですよ 笑
わ~♪読んでいただけて、そして、楽しんでいただけで、とっても嬉しいです!!
直木賞の選評って読んだことがないですが、ちょっと興味が湧いてきました~(笑)
素晴らしい、の一言に尽きますねぇ。
ていうか、私、読むタイミング遅すぎですが(^^;)。
輝ける若き才能たちのスタートにふさわしい、とても清々しくて力強い物語でした。
私も、明石が好きでした。「春と修羅」の演奏、聞いてみたいですね。人としての厚みと温かさのある、明石の演奏が作曲者に認められて、賞をもらったのが分かった瞬間は、私も泣きました~。
よい物語を、読めました。