呆れるくらい長く放置してしまいました。その間、何冊も「記事、書かなきゃ!」と思った本を読んだものの、重い腰を上げられなかったんですが、この作品を読んだら、もうね、「これは書かねばーっ!」と、ようやく重い腰を上げることができました。
そんな訳で、約2ヶ月ぶりの感想記事。どうやって書けばいいのか忘れちゃっててギコチナイ文章になるかもしれませんが、そこはご容赦くださいませ。
著者デビュー作にして、第1回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。
魔導士が差別され虐げられている国。その田舎で私塾を開いている三流魔導士のレオン。かつての弟子から託されたのは、潜在能力はあるものの魔導を学ぶことを頑に拒む少年ゼクス。レオンと暮らすうちにゼクスの心が少しずつ開いてその才能を開花させ・・・。
魔導士、潜在能力、師弟愛、友情、子どもの成長・・・と、私の大好き要素が、これでもか、これでもか、と入っていて読んでてテンションがあがりまくりました。
頑な少年が心を開いていくというのは、まぁそれは普通の展開なんだけど、頑になった原因が予想外でして。個人的に、そういう人がいるというのを最近になって知ったのもあって、フッと現実に引き戻されたような感覚に陥りました。ファンタジーだと思って読んでたら、すっごいリアリティを感じてしまった。でも、それでテンションが下がったのかというとそうではなくて、逆にこの物語を身近に感じられたというか、ね。「これはファンタジー(作りものの世界)。」ではなく、「実際に在る世界なのだ。」と感じながらの読書が出来たというか・・・。ちょっと違うかな。うーん、上手く言えなくてもどかしい。私のボキャブラリーの貧困さがウラメシイ;;;
実はかなりのボリュームがあるこの小説。手に取った時は、果たして読了できるのだろうかと一抹の不安もよぎったんだけど、そこで、「おっと、そうきたか、なるほどねー!」と意外さにグッと心を捕まれて、そこからは、もうね、一気に最後まで・・・という感じでした。だって、先が気になってしょうがなかったんですもん。途中で止められなくなって、睡眠時間を削って読んでしまったのでした。
またね、師弟愛がね。泣かせるわけですよ。才能への渇望や嫉妬を抱える師と大きな才能を持ちながらも他人に言えないコンプレックスを抱える弟子。途中で道を分かちながらも、お互いを思い敬う心は捨てきれない。二人の葛藤やアレコレに何度も涙しました。
でも、それぞれの進む道が別になって、え?ち、ちょっと!これからどうなるのーっ!?もしかして、この二人が・・・という展開になった時は、それはそれは心配したのでした。最悪の展開にならなくて心からホッとしました。もう、ドキドキさせないでよー!と著者に悪態をつきたくなった(笑)
実は最後の最後も、まさか・・と不安があったんですが、それは取り越し苦労に終わってホッ。この後、二人はどうなったんだろう・・・と思ってたら、巻末の解説に「続編、執筆中」の文字を見つけて、とっても嬉しくなりました。早く二人の物語が読みたいなぁ。待ち遠しい!
この小説は友人から紹介されて手に取りました。
先にも書いてますが、かなりのボリュームでの初読み作家さん。それも新人さんということで、読む前は、合うかなぁとか、最後まで読み切れるのかなぁという不安がありました。が!今は「教えてくれてありがとーっ!」という気持ちです。お世辞抜きで。私も「デビュー作から追いかけていました」と自慢できるのかと思うとちょっと嬉しい(笑)感謝!
(2016.09.03 読了)
2016年09月07日
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魔導の系譜
Excerpt: 佐藤さくら 2016 創元推理文庫 やっと読めた。ようやく手に入れることができた一冊である。とても感慨深い。一気に読むよりも、じっくりと丁寧に読みたい。なにしろ、長い物語だ。登場人物も多いし、各派勢力..
Weblog: 香桑の読書室
Tracked: 2016-09-07 10:19
いつかあなたに読んでもらいたい作家さんだったんだよう。
勧めた手前、お気に召してほっとしています。
最初はじっくりゆっくり読むかーって私も思っていたんだよ。
だけど、ゼクスが最初っから最後まで暴走するから、追いかけると一気読みになっちゃうんだ……。
レオンの物腰柔らかなだめだめっぷりとか、いずれ劣らぬ気の強い女性陣とか、キャラ達もかわいかったなぁ。
きちんとした異世界ファンタジーを書ける書き手さんが増えるのは大歓迎なのです。
こちらこそ、素敵な物語との出会いをありがとう!とってても楽しい読書が出来ました♪
そうそう!ゼクスもレオンも女性陣たちも、みんな個性的で魅力的でした。なので、続編執筆中という言葉に小躍りしたのでした。
いつ読めるのかなぁ。とっても楽しみ!