2016年05月29日

象は忘れない(柳広司)

「怒り」それも圧倒的な。この作品から感じることを一言で表すとすれば、この言葉以外はありえない。そんなことを感じた1冊でした。そして、感想を書こうとすると手が止まってしまって、なかなか言葉を綴れないのです。なので、強烈な印象を残した1冊ですが感想は短くなってしまいました。

3月11日の東日本大震災。福島からフクシマに変わったあの日。そこで暮らしていた人々は、そして、そこに居た人々は・・・。

福島で原発作業員として働く若者、消防団の一員としてあの日を迎えた人、福島から幼子と東京へ避難した母親、トモダチ作戦に参加した米国軍人、避難させられた人々・・・。福島の原発と何らかの関わりを持った人々を描いた短編集。

もうね、なんとも言葉が出ないです。当事者として、あの場にいたり、暮らしている人々の戸惑いや怒りや悲しみ・・・色んな感情が一気に押し寄せてきて飲み込まれてしまいました。でも、それを知ることの大切さというか、重さも含めて、考えさせられた作品でもありました。


「象は忘れない」
“象は非常に記憶力が良く、自分の身に起きたことは決して忘れない”(英語の諺)



読了後、この「象は忘れない」というタイトルの重さがずっしりと押し寄せてくる。風化させてはならないのだ。忘れてはならないのだ。著者の強い強いメッセージが込められたタイトル。悲しいかな、人間は忘れてしまうのです。だから、折に触れ、読み返していきたい、そう思いました。




・道成寺
・黒塚
・卒都婆小町
・善知鳥
・俊寛


(2016.03.27 読了)





象は忘れない
文藝春秋
柳 広司

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posted by すずな at 15:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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