「英雄の書」(上・下)の続編。
「英雄の書」続編ということなんですが、案の定、内容がうろ覚えで;;;大丈夫かなぁと思いながら読み始めたんですが、主人公は違ってるし、話も続いている訳ではないので、覚えてなくても大丈夫でした。
実は、この作品は一度、挫折してまして。図書館の返却期限までに上巻を読み終わらず再予約して、ようやく読めたのでした。冒頭部分をチラッとは読んでたんですが、その時の印象で「これは私好みかも!」と思ってたんですよね。なので、手元に届くのがとても待ち遠しかったのでした。
と、そんなこんなで、すっごぉーくワクワクしながら読み始めたんですが、そのテンションが途中でどんどん萎んでいってしまいました。や、面白いのは面白かったんですよ。続きが気になってガツガツ読んだのは読んだんですよ。宮部さんだし。
でもね、読み進めば進むほどに、主人公の孝太郎の思考にどんどん付いていけなくなってしまったんですよねぇ。あ、いい子だなぁ、好きだなぁと思ったのに、「ど、どどどうしちゃったの!?」と焦っちゃうくらいにクロイ子になっちゃって。そりゃ、大好きな人をあんな形で失っちゃえば、理性が飛んでしまうというか、精神的なバランスを崩しちゃうっていうのも分からないでもないですよ。でも、人として超えてはならない線を何度も超えちゃうのはどうかな、と思うんですよねぇ。まぁ、この物語自体がミステリーっぽくみせておいて、実はファンタジーだいうせいでもあったんでしょうけどね。
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なんか、ネタバレ気味になってきちゃいました。
未読の方はご注意を。
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孝太郎がやってしまったこと。一人目はまだ分かる。でも、二人目にまでいっちゃった時は、正直、かなりひきました。都築の「消してしまったら犯人が見つからないままだし、関係者の気持ちはどうすればいいのか」みたいな言葉が少しは響いたかなと思ったのに、その後も・・・。もうね、物語を楽しむよりも、いやぁ~な気持ちのほうが大きくなっちゃって。孝太郎に持っていた同情とか許容が一気に萎んじゃった、そんな気持ちになりました。
その上、あのラスト。なんで、美香の事件だけは時間を巻き戻せるの?ガラが孝太郎に力を授けた目的がアレで、そのお詫びみたいな感じなのかもしれないけれど、どうせ巻き戻すなら最初まで戻して欲しかったなぁ。なーんか中途半端な印象で、すっごいモヤモヤっていうか、あれこれスッキリしない。
物語自体は面白かったんだけど、ガッツリ入り込めなくてなんだかちょっぴり消化不良気味な読書となりました。・・・そういえば、「英雄の書」もそんな感じだったような気がするなぁ。
(2016.01.25 読了)
2016年02月03日
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『悲嘆の門』上・下/宮部みゆき 〇
Excerpt: 宮部みゆきさんの、『英雄の書』の続編。 〈無明の地〉において〈万書殿〉を守る、『悲嘆の門』。 その門番と戦うための力を集めている戦士・ガラ。 ガラの存在を知ってしまった主人公・孝太郎は、彼女の力を分け..
Weblog: 蒼のほとりで書に溺れ。
Tracked: 2017-10-13 12:55
孝太郎の暴走が、引っかかってしまい、ラストの時間巻き戻しに関しても、納得がいかなかったですねぇ。
私はこの作品は「それでも、生きていく」が主題なのかなぁ…と思いました。
その為に、キティを噛み砕いた記憶を持ったまま、生きていく軛を負ったのかな、ということで何とか自分を収めました。
読後感は、重たかったですねぇ・・・(^_^;)。
返信が大変遅くなりました;;;すみませんm(__)m
そうなんですよー!なんとも後味の悪い作品でしたね。「それでも、生きていく」と言われると、なるほどなぁと思えますが、どうにもこうにも重くスッキリしない読後感でした…。