2016年02月03日

悲嘆の門(上・下)(宮部みゆき)

「英雄の書」()の続編。

「英雄の書」続編ということなんですが、案の定、内容がうろ覚えで;;;大丈夫かなぁと思いながら読み始めたんですが、主人公は違ってるし、話も続いている訳ではないので、覚えてなくても大丈夫でした。

実は、この作品は一度、挫折してまして。図書館の返却期限までに上巻を読み終わらず再予約して、ようやく読めたのでした。冒頭部分をチラッとは読んでたんですが、その時の印象で「これは私好みかも!」と思ってたんですよね。なので、手元に届くのがとても待ち遠しかったのでした。

と、そんなこんなで、すっごぉーくワクワクしながら読み始めたんですが、そのテンションが途中でどんどん萎んでいってしまいました。や、面白いのは面白かったんですよ。続きが気になってガツガツ読んだのは読んだんですよ。宮部さんだし。

でもね、読み進めば進むほどに、主人公の孝太郎の思考にどんどん付いていけなくなってしまったんですよねぇ。あ、いい子だなぁ、好きだなぁと思ったのに、「ど、どどどうしちゃったの!?」と焦っちゃうくらいにクロイ子になっちゃって。そりゃ、大好きな人をあんな形で失っちゃえば、理性が飛んでしまうというか、精神的なバランスを崩しちゃうっていうのも分からないでもないですよ。でも、人として超えてはならない線を何度も超えちゃうのはどうかな、と思うんですよねぇ。まぁ、この物語自体がミステリーっぽくみせておいて、実はファンタジーだいうせいでもあったんでしょうけどね。


*****


なんか、ネタバレ気味になってきちゃいました。
未読の方はご注意を。


*****



孝太郎がやってしまったこと。一人目はまだ分かる。でも、二人目にまでいっちゃった時は、正直、かなりひきました。都築の「消してしまったら犯人が見つからないままだし、関係者の気持ちはどうすればいいのか」みたいな言葉が少しは響いたかなと思ったのに、その後も・・・。もうね、物語を楽しむよりも、いやぁ~な気持ちのほうが大きくなっちゃって。孝太郎に持っていた同情とか許容が一気に萎んじゃった、そんな気持ちになりました。

その上、あのラスト。なんで、美香の事件だけは時間を巻き戻せるの?ガラが孝太郎に力を授けた目的がアレで、そのお詫びみたいな感じなのかもしれないけれど、どうせ巻き戻すなら最初まで戻して欲しかったなぁ。なーんか中途半端な印象で、すっごいモヤモヤっていうか、あれこれスッキリしない。


物語自体は面白かったんだけど、ガッツリ入り込めなくてなんだかちょっぴり消化不良気味な読書となりました。・・・そういえば、「英雄の書」もそんな感じだったような気がするなぁ。





(2016.01.25 読了)





悲嘆の門(上)
毎日新聞社
宮部 みゆき

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悲嘆の門(下)
毎日新聞社
宮部 みゆき

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ラベル:読書 著者(ま)
posted by すずな at 12:47| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すずなさん、こんにちは(^^)。
孝太郎の暴走が、引っかかってしまい、ラストの時間巻き戻しに関しても、納得がいかなかったですねぇ。
私はこの作品は「それでも、生きていく」が主題なのかなぁ…と思いました。
その為に、キティを噛み砕いた記憶を持ったまま、生きていく軛を負ったのかな、ということで何とか自分を収めました。
読後感は、重たかったですねぇ・・・(^_^;)。
Posted by 水無月・R at 2017年10月13日 12:55
>水無月・Rさん
返信が大変遅くなりました;;;すみませんm(__)m

そうなんですよー!なんとも後味の悪い作品でしたね。「それでも、生きていく」と言われると、なるほどなぁと思えますが、どうにもこうにも重くスッキリしない読後感でした…。
Posted by すずな at 2017年10月23日 11:58
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Tracked: 2017-10-13 12:55