宮木さんが描く清少納言。
「源氏物語」や「あさきゆめみし」に親しんだ私としては、紫式部と同じ時代に生きていて、何やら”エッセイ”らしきものを残した人、という印象でしかなかった清少納言。元々、エッセイが苦手でもっぱら物語しか読んでこなかった私にとっては、歴史の教科書に紫式部と一緒に出てくる女性というくらいの認識しかありませんでした。でも、だからこそ、宮木さんの描く清少納言という女性がどういう人なのかと、興味津々で読み進めることが出来たのではないかと思います。
清少納言が中宮定子に仕えた経緯や、枕草子を書き始めた経緯など、そういう部分も書かれていて「そうだったのかー!」と面白く読みました。元々、好きで書き始めた訳ではなかったんですねぇ。まぁ、事実がどうなのかはわかりませんけどね(笑)でも、そういうことだったんだろうなぁという説得力は十分にありました。
それにしても、時の権力者であるはずの帝であっても、ままならないことというは多かったんですねぇ。廷臣の思惑や策略のお蔭で、自分の思う通りに行動することが出来ない。もちろん、国を動かす、人を動かすということは、それなりの駆け引きが必要で、全てが思うままに出来なかったという面もあるんでしょうけど。なんとも切ないものです。
あと、ちょっと引いちゃったのが、紫式部と彼女が使える彰子の底意地の悪さ!紫式部が好きだった私としては、こういう描かれ方にはちょっと不快感も感じつつ、実際はやはりこういうものだったのかもしれないなぁとも思ったり。宮中って、特に女性同士のあれこれになると・・・ね。同じ女性の私が言うのもなんなんだけど、陰鬱で情け容赦なさそうですもんねぇ・・・。
この物語は中宮定子の死までしか描かれてないんですが、その後の、清少納言の晩年はどういうものだったんでしょう。いつか、それを知る機会があればいいなぁと思ったのでした。
・・・自分で調べろ!という突込みは無しでお願いします(笑)
(2015.05.05 読了)
2015年05月10日
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清少納言の事は歴史で習った程度しか知らなかったのですが、冲方丁さんの「はなとゆめ」を読んでこういう方だったのか!と知り、今回の作品で人間味のある清少納言を知ることが出来たという感じです。
どちらも紫式部が凄く悪女になっていて^^;おいおいホントかよ、と思ったのですがどうなんでしょうねー。
ここまで一人の人に尽くして仕えることが出来るって切ない部分もありましたけど、羨ましいなと思いました。
本作を読むまでは、清少納言のイメージは「鼻持ちならない才女」でした(^_^;)。
ガラッと変わりましたねぇ。
中宮定子や宰相の君との関係が、とても素晴らしかったです。
逆に、紫式部には…。もちろん対照のためにこういう描かれ方をしたのでしょうが(^_^;)。
冲方丁さんの「はなとゆめ」は図書館で予約したんですけど読みきれなくって未読のまま返却しちゃったんでしすよねぇ。又そのうち借りてこなくちゃと思ってるんですが、いつになることやら・・・。
紫式部の描かれかたが、ちょっとどうなの?って感じでしたよねぇ。実際はどうなんでしょうね。
ここまで誰かに尽くせるというのは凄いことだと思いますけど、読んでてすごく切なかったですね。
「鼻持ちならない才女」ですか!それはまた…(笑)でも、本作を読むとイメージが全く違ってきますね。
定子や宰相の君との主従関係、信頼関係は私も凄いなと思いました。ここまで思いあえる関係を築けるというのは羨ましくもありました。
紫式部の描かれ方にはちょっと引いちゃいましたよねー。もうちょっとソフトに描いてほしかったなぁと思わないことも…(^-^;
>それにしても、時の権力者であるはずの帝であっても、ままならないことというは多かったんですねぇ。
これは私も思いました!なんというか、特権階級もまた大変なんだな、と思わされたり。。。この時代の物語、もっと読みたくなりました。
歴史上の人物ということぐらいの認識だったのが、ぐーんと身近に感じられる作品でしたね。そして、人の上に立つというのは、なかなか大変なことなんだなぁと私も思いました。