2015年03月09日

えどさがし(畠中恵)

「しゃばけ」シリーズ外伝。
若だんなは全く登場せず、佐助や仁吉などお馴染の登場人物達を主役にした短編集。

これねー!読みたかったんだけど、文庫だったからか図書館になかなか入れてくれなくって;;;リクエストしようかな、どうしようかな、と迷っている時に本屋さんで遭遇しちゃって、思わず買ってしまいました。

若だんなが登場しないのはちょっと寂しかったのですが、佐助や仁吉の他に、河童の親分である禰々子や、長崎屋にちょくちょく顔を出す日限の親分の病弱な女房であるおさき、広徳寺僧侶の寛朝の弟子である秋英などが主人公となったお話で、「あ、この人は~!」とちょっとテンションを上げながら読みました。どれもこれも、面白く、時には切なくなりながら、とっても楽しめました。


・五百年の判じ絵
佐助が長崎屋に奉公することになった経緯が書かれた物語。500年前の約束を果たす為に茶店に描かれた判じ絵。誰が誰に向けて書いたのか。あてのない旅の途中で茶店に立ち寄った佐助は、人に化けた狐の朝太と出会い・・・。
佐助には、こんな歴史があったのかぁと、何故だかしみじみしながら読みました。おぎんさん、佐助との約束を覚えていてくれてありがとー!と思わずお礼を言いたくなったのでした!それにしても、500年前の約束って・・・。寿命の無い妖だからこそ果たせる約束でしょうけど、恩義を感じたほうは覚えていても、逆の立場になれば、そりゃ~忘れちゃうよなぁ(笑)


・太郎君、東へ
河童の親分である禰々子の物語。最近、利根川の坂東太郎が度々、荒れているのが気になっている。何か理由があるのだろうと探りを入れると・・・。
お~禰々子!と思わずテンションが上がったり。禰々子が主役のお話なんて、さすが外伝ですねぇ。実は、カッコいい禰々子のことは密かにファンでして、これはちょっと嬉しい驚きでした。それにしても、人間って自分たちの都合で、本当に勝手に自然を変えてきたんだよなぁと、つくづく思いました。まぁ、その便利さを享受している私が言うのもなんなんですけどね・・・。そういえば、利根川の別名を坂東太郎というのは知ってましたが、その由来っていうのは気にしてなかったんですよね。九州に住む私にとっては、特に親しみのある河でもないし(笑)なので、今回、それが分かって良かったなと思いました。


・たちまちづき
広徳寺僧侶の寛朝の弟子である秋英が主人公。・・・肩書き(?)が長い(笑)寛朝の元に舞い込んだ妖退治。口入屋の女房から亭主に付いた「おんな妖」を払ってほしいとの依頼だったが・・・。
最初は頼りなさげだった口入屋の亭主が、やるべき時はキッチリと片を付ける姿に惚れ惚れ。でもこれって、秋英さんを主役にした意味がどこにあるのか、チト分からなかったんだけど(笑)主役というよりも脇役だったような気がする・・・のは気のせい、気のせい!


・親分のおかみさん
若だんなの元にちょくちょく顔を出す日限の親分のおかみさんであるおさき。病弱なおさきが寝込んでいる間に赤ちゃんが置き去りにされていて・・・。
存在だけは知っていたけど登場するのは初めてのおさきさん。日限の親分が、おさきさんのことを本当に大事にしてるのがよーく分かりました(笑)この事件をきっかけに二人の子供となった清吉。彼の存在は本編でも出てきてたかな。ちょっと覚えてないんですが;;;若だんなとも関わりがあった子供なので、そのうち本編でも堂々と登場しそうだなぁと思いました。

・えどさがし
時は明治。若だんなもとうにこの世になく、妖たちが生まれ変わってくる筈の若だんなを探している、という物語。若だんなを探していた仁吉が出会った警官は妖で・・・。ということで、「明治・妖モダン」ともリンクしているのかな。
分かっていても、実際に若だんなの死後の話を読んでしまうと、なんともこうね・・・寂しいというか、切ないというか・・・。すごく堪らない気持ちになりました。でも、いつかきっとまた長崎屋の離れのように、若だんなを囲んで妖達がてんやわんやする時がやってくるはず!と信じたいです。もしかしたら、この平成の時代になって・・・と想像したらちょっと楽しくなってきました。



(2015.03.01 読了)




えどさがし (新潮文庫)
新潮社
2014-11-28
畠中 恵

Amazonアソシエイト by えどさがし (新潮文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

ラベル:著者(は) 読書
posted by すずな at 12:50| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本編はまだ5,6冊しか読んでいないのですが^^;読みました!面白かったです!
佐助が長崎屋に来るお話、好きでした^^
こうやって長崎屋に来たのねと思ったらちょっとほっこりします。
そしてえどさがし。
若だんなを探す仁吉が活躍してましたね^^ちゃんと生まれ変わった若だんなに会えたらいいなと思います。そして同じくこの平成の世でも・・・って思ったら何だか幸せな気持ちになりますよね^^
Posted by 苗坊 at 2015年03月11日 18:12
>苗坊さん
面白かったですよねー!
佐助が長崎屋にやってくることになったお話は、私も好きでした。このお話が読めて本当に嬉しかったです。
「えどさがし」はちょっと切なくもなりましたが、仁吉の活躍が読めて、こちらも良かったですね~。
今、日本のどこかで・・・と思ったら嬉しくなりますよね!
Posted by すずな at 2015年03月12日 12:52
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック

えどさがし 畠中恵
Excerpt: えどさがし (新潮文庫)著者:畠中 恵新潮社(2014-11-28)販売元:Amazon.co.jp 時は流れて江戸から明治へ。夜の銀座で、とんびを羽織った男が人捜しをしていた。男の名は、仁吉。今は京..
Weblog: 苗坊の徒然日記
Tracked: 2015-03-11 18:09