過去や未来だけではなく、夢の世界や現実の世界を自由に出入りできる旅行者(トラベラー)として少年が覗いた世界。その世界の物語を綴った短編集。「箱庭旅団」という短編集の続編。お話の中に必ず少年が登場する訳ではないし、繋がりもないので連作集ではないんですよね。そういう意味では、ちょっと変わった短編集かな。
ほとんどが繋がりはないんだけど、いくつかはリンクしている作品があって、後日談が読めたものもあったのは楽しかった。で、これが2作目だと思っていたら、間にもう1作挟んでるってことに後で気づいてショックを受けてしまったのでした。なんで読んでないんだろう・・・。近いうちに読まなくちゃ。
今回はホラー系よりもSF系が多かったかな。最初の「マミオ、地球を去る」が特にお気に入りでした。異星人が惑星調査員として地球に滞在してたんだけど、猫の姿をしているという設定。任期が終わり、地球を去っていく調査員の行動の気持ちに胸がきゅーんとなりました。
あと、「バルル原理」も面白かった。まぁ、人間としては笑えないお話なんだけど、ね。最後はちょっとゾッとしたし。最後にゾッとしたと言えば「サトミを泣かせるな」も怖かった!ラスト前までは、微笑ましくって良いお話だなぁと思ってたんだけど、まさかそういうオチだとは!確かに死にたくはないけど、死ねないってのは、それはそれでイヤだなぁと思いました。
あと、想像するとシュールでめっちゃ怖いんだけど、「シュシュ~」の2編は思わず笑ってしまうという不思議なお話でした。ホラーなんだけど、コメディみたいだった。1編目を読んだ時に、その後はどうなったんだろうと気になっていたので、その続きが読めたのも嬉しかったなぁ。
様々な趣の作品が読めて面白い短編集でした。2作目を早く読まなくちゃ。
・マミオ、地球を去る
・シュシュと空きカバンの住人
・俺と兄貴が火曜日に
・跨線橋の秋
・クリスマスの呪い
・鬼が来る正月
・よいち異聞
・さよなら、旅行者
・シュシュ、途方に暮れちゃって
・バルル原理
・サトミを泣かせるな
・夢見王子
・ボブ論争
・キミの名前~エピローグ~
(2015.02.07 読了)
2015年02月08日
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