2015年02月08日

風のベーコンサンド 高原カフェ日誌(柴田よしき)

坂木司リクエスト!和菓子のアンソロジーに収録されていた「融雪」を含む6編の連作短編集。

図書館の新刊でこの本を見つけた時の喜び!あらすじを読んで「あ、あのアンソロジー集に載ってたお話の、だーっ!」とテンションが上がりました。アンソロジー集を読んだ時から、百合が原高原にあるカフェを舞台にしたこのお話をもっと読みたいと思っていたので、念願が叶って凄く嬉しい。


お約束ではあるんだけど、やはり何といっても、四季折々に登場するカフェのランチメニューが美味しそうで、美味しそうで!食欲中枢を刺激されまくりました。「ひよこ牧場」のバターやベーコンやソーセージ。「あおぞらベーカリー」の自家製天然酵母のパン。有機野菜の数々。と、百合が原高原にあるお店から仕入れた食材を使った様々なお料理。もうねーっ、もうねーっ!めっちゃ美味しそうでした。読みながらお腹がぐーぐー鳴ってましたよ(笑)

特にタイトルにもなっている「ベーコンサンド」は、「秘密の花園」(バーネット作)に登場したサンドイッチが元になっているということで、子供の頃、バーネット作品が大好きだった私にとっては、食べたくて食べたくてたまらなくなりました。実は、作り方が表紙カバーの折り返し部分に書いてあって、なんだか簡単に作れそうなんですよね。さすがに同じ材料は手に入らないので、多少は味が落ちるかもしれませんが、これは近いうちに是非とも作って食べねば!と思っているところです。
と、こうやって、文章を作っているだけでお腹が・・・(笑)

そんなこんなで、お料理の数々にはテンションが上がりましたが、お話の内容は、なかなかハードでした。カフェを開業したのは離婚協議中の奈穂。元々、東京で女性誌の編集部員として働いていた菜穂は、夫のモラスハラスメントに耐えかねて体調を崩し、離婚を申し入れたが夫は離婚に承知しない。逃げるように百合が原高原にやってきた奈穂は、この自然あふれる土地で人々の優しさに触れながらも、冬は雪に覆われる高原でのカフェ経営は厳しいもの。その上、離婚調停中の夫は心無い言葉を投げつけ・・・。

こうやって、書いていくと本当に奈穂はよく頑張ったなぁとしみじみ思っちゃいます。夫の言葉には、もうね、こちらが怒りまくってしまったくらい酷いものでした。確かに、思いっきり罵倒する訳ではないし、全く的外れなことでもないんですよね。でも、マイナスの言葉ばかりを投げつけられると、気持ちはどんどんと沈んでしまいます。妻だと思ってる相手に、どうしてそこまでの言葉を紡げるのか。不思議でしょうがなかった。奈穂のことを思うと堪らない気持ちになりました。このまま平行線のままなのかな・・・と不安になりましたが、最後はホッとできるラストで良かったです。

そういえば、田中さんの正体は、割と早い段階から予想出来たんだけども。あそこまで気づかないのは不自然じゃないのー!?とツッコミも入れてみる(笑)でも、第三者の私だったら気づけるけど、その当事者になると、案外、見えないものなのかもしれませんね。
・・・と納得するのは、ちょっと甘すぎ?

村岡とはどうなるんだろうと思ってましたが、最後の最後でようやく二人の関係が一歩進んで嬉しかった。まぁ、この先はちょっと長そうだけど(笑)でも、二人のペースで二人らしい関係を築いていって欲しいなぁと思いました。いつか、二人のその後も読んでみたいです。


お腹も心も満腹になれるお話でした。満足。



・風音
・夕立
・豊饒
・夢鬼
・融雪
・花歌



(2015.02.05 読了)






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ラベル:読書 著者(さ)
posted by すずな at 15:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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