2015年02月01日

ある小馬裁判の記(ジェイムズ・オールドリッジ)

先日読んだ森谷明子さんの「花野に眠る 秋葉図書館の四季」で登場した作品。

この物語のラストがどうなったのか、すごくすごーく気になって!これは読まねば!と思ったんだけど、地元図書館には無かった;;;でも、県立図書館の蔵書リストで発見!早速、取り寄せてもらいました。

あ~昔は子供向けでも字が小さかったよなぁと、そして、このシリーズ本はすごく見覚えがあるなぁと、とても懐かしく感じなら読み始めました。

オーストラリア開拓時代を舞台にしたお話。貧しい少年が1頭のポニーを飼っていた。そのポニーは少年が遠くの学校に行くための足でもあったが、ある日、いなくなってしまう。一方、大地主の娘は足が不自由で自分で歩くことが出来ない。両親は娘の為に1頭のポニーを手に入れ、そのポニーが引く馬車で娘が外に出られるようになる。そのポニーを巡って両者が「自分のポニーだ」と主張したことから町を巻き込んでの争いに発展していく。食べ物すら事欠く貧しい少年の唯一の心の支えだったポニーと、何でも持っているがポニーだけを望んでいる少女。果たしてポニーはどちらのものとなるのか・・・。

裁判の決着方法は森谷さんの作品でも匂わされていたので、大体の予想は出来ていたのですが、そうなったかぁ・・・という展開でした。どっちの気持ちも分かるし、どっちが正しいとか正しくないとも言えないし。これは、どういう結果になっても、双方にキズが残っちゃう。少年と少女のどちらも納得のいく形に収めるには、少年の弁護士が提案した方法が一番良かったんだろうと思います。でも、これはね、どういう結果になってもツライね。

ラストには思わず涙腺がゆるんじゃった。少女の強さ、潔さに脱帽。そして、少年の優しさにも。こんな事件がなければ、きっと出会うことのなかった二人が、裁判を通じてお互いの境遇や想いを少しずつ理解していく。その結果が、あのラストに繋がっていくんですよね。これは、彼らだけのことではなく、人間はこうやって自分以外の他者との関係を築いていくんだよなぁと、そんな当たり前と言えば当たり前のことに改めて気付かされたのでした。

そして、何事においても、自分の主張だけを声高に言い募るだけでなく、きちんと相手の言い分も聞くことと考えることの大切さを、さらに、誰に対しても公平であるべきことの尊さを教えられたような気がします。

良い読書が出来ました。この作品に出会わせてくれた森谷さんに感謝。




(2015.01.31 読了)



ある小馬裁判の記 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
評論社
ジェイムズ・オールドリッジ

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posted by すずな at 07:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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