結衣子の姉の万佑子は小3の時、帰宅途中に行方不明になったが、2年後に突然帰って来た。帰って来た姉に喜ぶ家族だが、結衣子は「本当の姉なのか」と疑問に思う。その違和感はずっと拭えないまま13年が過ぎ・・・。
タイトルはアンデルセン物語の「エンドウ豆の上に寝たお姫様」から取られたもの。上手いタイトルだなぁと思いました。結衣子が感じ続けた違和感。両親、そして検査でも姉妹だと断定されたのに、「本当の姉なのか」という気持ちは消えない。周囲から見ると、本当の姉であるというゆるぎない証拠が幾重にも重なっていくのに、「違う」と思う。最後まで読んで思わず唸らされました。
それにしても、どう考えても結衣子が可哀想でなりません。姉が行方不明になってから変わってしまった母親。そんな母親からされた仕打ち。そして、どうして両親は祖父母や妹の結衣子にまで本当のこと隠し続けたのか。両親や姉にずっと騙されていたことを思うと・・・。いくら子供だって、そこは正直に教えて欲しかったなぁと思います。なにせたった二人の姉妹なんですから。
真相にたどり着くまで、どういうこと?どうなるの?とドキドキハラハラ出来て、それはそれで面白かったんだけど、読み終わって何とも言えない気持ちになりました。切ないというか、痛いというか、怒りまでも感じてしまったり。ということで、読後感はイマイチ。もやもやが消えない・・・。
や、それでも、面白かったということに変わりはないんだけどね。だから、余計に複雑・・・。
(2014.06.20 読了)
2015年01月17日
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私も同じ気持ちです。
答えが知りたくて読む手が止まらなくて、あっという間に読んでしまったのですがその真相はあまりにもひどかったですよね。
子どもだから分からないとでも思ったのでしょうか。疑ってる、気づかれているとわかった段階で真実を伝えればここまでこじれることはなかったと思います。
ホント、イヤミスの女王ですね~^^;
湊さんだなぁと思える作品でしたね。タイトルは童話を使ってたので騙されちゃいました(^^;
それにしても、本当にいくらなんでも…と絶句する真相でしたね。私ももっと早い段階で真実を伝えれば良かったのにと思いました。
母親に言いつけられて団地を回る主人公が哀れでならなかったです。母親の壊れっぷりがちょっとしたホラーでした^^;
ホントですよー!いくら子供でも姉のことなんだから…と突っ込みを入れてしまいました。
団地を回る場面は堪らない気持ちになりましたね。母親がそんな状態にあるというのに父親は何をしてるんだ!?と、そっちにも憤ってしまいました。
母親、酷かったですよねぇ。万佑子の母だけど、結衣子の母でもあるのに!結衣子には全然気持ちが行ってないっていうのが、辛すぎました。
あ、そうか、父親。あの人も、随分ひどい人でした。
私もホント、後味悪すぎる…!って思いましたね~(-_-;)。
この母親は本当に酷かったですよねぇ。結衣子が可哀想でしょうがなかったです。
湊さんらしいといえばらしいんですが、後味の悪い作品でしたね。でも、そこが湊さんの好きなところでもあるんですけどね・・・ということで、なんとも複雑な読後感でした。