とにかくシンドイ読書でした。
昭和初期に生まれた女性の半生が綴られているんですが、なにか大事件に巻き込まれる訳でもなく、波乱万丈の人生を送るわけでもない、本当に平凡な人生って感じ。それが主人公の独白で淡々と語られるんですよ。半分まで読むのが、ほんっとぉーーーに時間がかかりました。そんな本に限ってボリュームもあるんですよねぇ;;;他の事情もあったにはあったんだけど、1週間ぐらいチマチマ読んでましたよ・・・。もうね、これは挫折して他の本を読むべき?でも、角田さんだしなぁ・・・と迷いに迷いました。ただ、半分を過ぎて後半に入ると、何かスイッチが入ったかのように一気に読めました。
主人公である佐織の一人語りで綴られる物語。22歳の時、戦時中の疎開先で一緒だったという風美子という女性から銀座で声をかけられる。疎開先ではいじめられていたという風美子は、その時、優しくしてくれた佐織に会いたかったというが・・・。
後に義妹となる風美子との出会いが、佐織の人生にかなりの影響を及ぼしていく。佐織目線でしか語られないので、風美子の真意が分からずドキドキしました。佐織と同じように疑心暗鬼になり、不安を感じる。その部分はミステリっぽくて、果たしてどんな真相があるんだろうか・・・と、期待もあって読み進めたんですが、結局そこは分からずじまいで。あれぇ?って感じでした。ドロドロとした展開を予想してたんだけど、私が期待しすぎちゃったのかな。なんか拍子抜けしちゃったんだけど、まぁドキドキしたのは本当なのでミステリ気分を味わえて良かったって思えば・・・(笑)
それにしても、佐織の鬱々とした語りには途中で挫折したくなるくらい辟易しました。子供たち、特に長女との確執、風美子への嫉妬などなど。うじうじしてて、読んでてこちらまで気分が重くなる。佐織目線で描かれてるので、読んでいると、どうしても佐織に同調しちゃうんですよね。負の感情が心を満たしていってずずーんと訳もなく気持ちが重くなっていくようでした。でも、私にも佐織が抱えるそんな感情がない訳ではないんですよね。同調するということは、それなりに理解できるってことでもある訳だし。あ~分かるなぁという部分もありました。だからこそ、余計にシンドイ読書となったのかなと思います。
そして、人生なんて本当に自分の思い通りになんていかないもので、それが当たり前なんだろうなぁと思いました。まさにタイトル通り、人生は”笹の舟に乗って海をわたる”ようなものなのでしょうね。自分の思い通りにはいかないし、どこにどうたどり着くのかも分からない。そんなことを、しみじみと思ったのでした。
大きな事件に巻き込まれる訳でもなく、波乱万丈な人生を送る訳でもない佐織の半生。それなのに、分厚い一冊を読み終えたら、なんだかとても満足した気分でいる自分がいました。読んでる間は、挫折しちゃいそうだなとか、色々と思うこともあったんだけど、何ででしょうか。自分でもよく分からないけれど、どんな人生であっても、長い年月の積み重ねがある訳だし、その長い人生を生きてきたってことだけでも価値があるんだろうと、そんなことを思ってみたり。
読み終わって、分厚い本を眺めながら、きっと私も佐織と似たような人生を送って、似たような晩年を迎えるんだろうなぁと、そんなことを思ったのでした。
(2015.01.13 読了)
2015年01月15日
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