劇団を退団した男役の女優、そのファンクラブのまとめ役という地位にしがみついている女性、そして、その女性の小学校時代の同級生。その3人を描いた連作短編集。
朝井さんって、男性だったよね?それも、20代よね?と、再確認したくなりました(笑)たしかに、男性でも女性でも、20代でも30代でも、同じ人間なんだから、根本的には一緒なんでしょうけど。でも、思わず確認したくなるくらい、女性のドロドロ~な心理が見事に描かれていて、内心すごく驚きながら読みました。
いや、怖いです。怖いけど、分かる部分もそこそこあって、それが余計に迫ってくる感じで。じめじめと陰湿でシツコイ感じが・・・。人は多かれ少なかれ、こういう部分も持ち合わせていて、嫉妬したり、劣等感を持ったりするものだってわかってるけど。そして、私の中にもそういうものが存在してるんだけど。それを抉り出されてるようで、読んでいてイタイ。でも、それが辻村作品ほどではないのは、男性作家さんだからなんでしょうか。
そういう心理的にイタイ部分もありましたが、某女性歌劇団をモデルにしてると思われる、ファンクラブの運営や事情などが垣間見れて、そこら辺は興味深く読めました。お弁当を差し入れしたり、出待ち、入り待ちってのは知ってたけど、こういうシステムになってるんですね。・・・って、実際のところは分からないんだけど。似たような感じなのかなぁと思いました。
(2014.06.23 読了)
2015年01月24日
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スペードの3 朝井リョウ
Excerpt: スペードの3著者:朝井 リョウ講談社(2014-03-14)販売元:Amazon.co.jp ミュージカル女優、つかさのファンクラブ「ファミリア」を束ねている美知代。大手化粧品会社で働いていると周りに..
Weblog: 苗坊の徒然日記
Tracked: 2015-01-24 20:58
『スペードの3』/朝井リョウ 〇
Excerpt: 朝井リョウさんは、ひどい人だ!! 前に読んだ『何者』でも、非常に抉られましたが、本作『スペードの3』も、ホントにホントに、抉られまくりました。 「優等生であること・だったこと」はそんなに悪いことなんで..
Weblog: 蒼のほとりで書に溺れ。
Tracked: 2017-01-08 22:11
著者は平成生まれの社会人3年目の男なんて、信じられないですよねー←
何でこんなに妙齢の女性の気持ちが分かるんだろうと思いましたが、以前ゴロウ・デラックスだったかに出演していた時に小島さんにおばさんみたいだねって言われてました^m^頭の中におばさんがいるらしいです。
テレビや本やネットでいろんな情報をスポンジみたいに吸収してるんだろうなーなんて思いました。
私も共感できるところがたくさんあって、できるからこそ怖いと思うところもありましたね~^^;
朝井さん、なんでこんなお話が書けるのーっ!?って思っちゃいますよね。頭の中におばさんがいるんですね~納得。…って、納得してもいいんでしょうか(笑)
同じ女性として分かるわ~と思っちゃう自分が怖いですよね(^-^;
美知代の章がイタイのなんのって…(^^;)。
身につまされすぎて、だいぶ抉られました(笑)。
嫉妬とか女同士のマウンティングとか、朝井リョウさんリアルすぎで、怖いです。
頭の中におばさんがいるからなんですね…!納得~♪
同じくでした…。
朝井さんの描写がリアルすぎますよね。若い男の子が描いてるとは思えません(^-^;
…なので、頭の中におばさんがいるというのには深く頷いてしまいますね(笑)