「演劇集団キャラメルボックス」での舞台化の為に書かれた作品。
少年時代に親の虐待を受け、勤めてる会社の倒産が決まっている大和。職場の同僚である元恋人に今も思いを寄せる。両親が別居し母親と暮らしている航平。母親の海外転勤の為に日本を離れることになっており、両親の仲直りを願っている。他に選択肢がなくサラ金の取り立てをしている赤木。部下二人を持つ。
有川さんらしい安定の面白さでした。元恋人同士の切ない想いや、両親の仲を元に戻したいと願う小学生の気持ち、そして、生きるためにサラ金の取立て屋になるしかなかった男の思いなど、胸に迫ってくるものもあって、時折、涙腺を緩ませながら読みました。
全てが丸く収まった大団円というカタチではなかったのも、有川さんらしいかな。最後、航平の気持ちを考えると切ない気持ちになりますが、これは、もうね、しょうがない。どうにもならないことってあるし。でも、最後は両親がきちんと航平と向き合ってくれて良かったなぁと思えました。その分、大和には頑張ってもらって、幸せを掴み取って欲しいと思います。きっと大丈夫よね・・・。
面白かったのは面白かったんだけど、これは「舞台」の為のお話なんだなぁと、そんなことを思ったのも事実。特に、ラストの展開などは「えぇっ!いきなりそうくる!?」と突っ込みたくなってしまった。まぁ、これはこれで面白かったんだけど、”舞台のクライマックスとしては”、とっても見応えがあったんだろうなぁと思いました。
舞台を観てない私としては、ちょっと気持ちが付いていけなかったかな。有川作品を読むときは、いつも理性を吹き飛ばして最後まで一気に読みきるんだけど、今回はちょっと冷静になってしまった自分がいました。
ちょっぴり残念。。。
(2014.10.26 読了)
2014年12月10日
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舞台用に書かれた作品だったんですよね~。私、知りませんでした^^;ドラマ化されているのは知っていたのですが。
有川さんの作品はやっぱり素敵です。男の人がいつもかっこよすぎて困ります^m^
確かに最後の展開はそうなる!?と思いましたが、こういうのもありかなとも思いました。
航平は可哀相でしたけどね…。
ドラマ化もされましたね!私は見てないんですけど^_^;
有川作品に登場する男性はかっこ良すぎですよねー!時々、こういう人、現実にいるのかなと思う時もありますけど。私の周りにいないだけなんでしょうね。・・・あ、気づかないだけかも(笑)
最後の展開は舞台っぽいな~と思いました。まぁ、ありかなしかと言われれば、ありだとは思いますけどね。
航平の両親は仕方ないかなぁとは思いつつ、出来れば上手くいってほしかったと思っちゃいますね。
航平君の両親に関しては、やっぱり・・・という感じでした。一度離れてしまった気持ちはもう戻らないのでしょうね。それでも、航平君が納得出来る形で収拾がついたので良かったかな、と思いました。大和と柊子の恋愛模様もハラハラしましたが、最後は有川さんらしいラストになってよかったです。幸せになって欲しいですね。
私はラストの展開が舞台っぽいなぁと思ったんですけど、確かに悪役側もキャラが立ってましたね!そういう部分も舞台ありきな作品の特徴が出てたんですね~。
航平の両親については、これは難しそうだけどなぁと思っていたら、やっぱりな展開でした。でも、両親が航平の気持ちをちゃんと考えてくれたのは良かったですね。大和と柊子には私もハラハラさせられました!でも、幸せになりそうなラストで良かったですね~。
私ね、赤木が好きになりました。生い立ちからしてチンピラになるしかなかった赤木だけど、糸山・石田・レイにとても優しかったですよね。4人がまた、家族のように一緒に生きていける日が来たらいいな、って思ったのでした。
航平、いつか作家にならないかなぁ…。
私も読み進む程に、赤木のことは好きになっていきました。優しい人でしたね。いつかきっと、彼らが家族のように暮らしていける日が来ますよ!そう信じたいです。
航平の書いたお話を読んでみたいですね!