18歳で二十も年上の職人と駆け落ちした順子。その彼女を中心にした6人の女性たちを描いた連作短編集。
順子を中心に書かれているんだけど、彼女が主人公になるお話はない。順子から駆け落ちすると電話をもらった高校の図書部の仲間だった清美や同じく同級生だった女性たち、順子の母親、そして、順子の駆け落ち相手の妻などを20年以上の月日の流れとともに描かれる。みんながその都度、順子と関わり、彼女の姿を自分と比べながら生きていく。
「幸せ」の基準ってないんだよね。本人が幸せというなら、他の人がそう感じなくても幸せなんだ。他人が図れるものではないし、図るものでもない。そんな風に生きていける順子って、凄いなぁと素直に思った。
順子と同様に、駆け落ち相手の妻である弥生の強さにも凄さを感じた。弥生にとっては、無我夢中であれこれ考えてる余裕なんてなかったのかもしれないんだけど。
桜木さんの作品って、結構、救いようがない切なさを感じるものが多かったんだけど、これは切ないながらも、希望というかね、そんなことを感じられた作品でした。まぁ、順子に関しては、やっぱりすごく切なかったけど、ね。
・1984 清美
・1990 桃子
・1993 弥生
・2000 美菜恵
・2005 静江
・2009 直子
(2014.01.31 読了)
2014年05月25日
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