デビュー作から追いかけている窪さんですが、前作が私的にイマイチだったので、この新作もちょっとドキドキしながら読みました。が、杞憂に終わって良かったです~!
両親や兄の愛情をたっぷりと注がれた幼少時代。戦争を経験し、夫の転勤に伴い慣れない仙台で暮らしながらの子育て。そして、病弱な子供をスイミングに通わせた事からスイミング講師への道を歩み始めた晶子。75歳になっても現役マタニティスイミングの講師を務めている。有名料理研究家を母に持ち、家族の愛情を感じられない子供時代を過ごし、高校生の時に売春で稼いだお金でカメラを買い、そのままカメラマンへの道を進んだ真菜。そして、不倫の末に妊娠してしまった。
・・・と、まぁ見事に対照的な二人が主人公の物語。そんな二人が3月11日の東日本大震災をキッカケにお互いの人生に関わっていくようになる。
それぞれの二人の生い立ちが描かれながら、子育ての事、生きるということについて、色々と考えさせられる物語でした。そして、震災時に出産したり、子育て中だったお母さんがどんなに大変で、原発への不安にどんなに心を痛めたのか、その一端を垣間見られたような物語でもありました。
真菜が晶子に出会えたのは本当に良かったし、すごく幸運なことだったんですよね。もしかしたら、現実にも真菜のようなお母さんがいたのかもしれない。そんな人たちが、晶子のような人とめぐり合えていればいいけれど、そんなに現実は甘くないだろうし。晶子が手を差し伸べる前の真菜のように、不安を抱えたまま日々を送っていた人も多かったんでしょうね、きっと。そう思うと堪らない気持ちになりました。
色々あったけれど、晶子との交流を通して、真菜が前向きに生きていこうとする姿にホッとしたラストでした。
(2013.04.17読了)
2013年05月06日
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