2013年05月24日

森に眠る魚(角田光代)

子供の小学校受験を前に出会った5人の母親達。いわゆる”ママ友”となった母親達が、小学校受験を前にだんだんとその関係が崩れていく様を描いた物語。

読了後に知ったんですが、ドラマ「名前を亡くした女神」の原作本だったんですね~。・・・とはいえ、そのドラマ自体も見てなかったんですけどね(笑)

5人の母親達が交互に語っていくので、最初は誰がだれやら分からなかったんですが、だんだんと区別がつくようになっていくに従って、のめり込むように読んでしまいました。怖いなぁと思いつつ、面白くって最後まで一気読み。

九州の片田舎に住んでると「小学校受験」なんてほぼ無縁なので、「こんなに凄いのか!?」と驚きと戸惑いを覚えてしまいました。なので、「大変なんだなぁ・・・」と他人事のような気持ちで読んだ部分もありました。小学校受験の為に幼稚園を選んだり、その為の教室(塾)に通わせたり。その教室選びも大変で、親もだけど、子供も大変そうだなぁ。作品の中でも、ストレスで萎縮しちゃったり、受験を失敗した子供も描かれていましたが、現実にもこんな子供たちがいるんだろうなぁと思うと、ちょっと可哀想な気がしないでもないんですけど。まぁ、だからって、それが不幸だとは思わないですけどね。どれが、その子供にとって良い事なのかなんて分からないし、それこそ、第三者があれこれ口を出す問題じゃないと思うし、ね。

と、なんだかちょっと他人事のような気分で読んだ部分もあったと同時に、彼女達の嫉妬や優越感などなど、ドロドロとした感情の動きには興味津々、まさに”野次馬的目線”でワクワクしながら読んでしまった部分もありました。・・・こっちの方が、大きかったかな、やっぱり(笑)

いや~女性の仲ってこじれると大変ですね。って、私も同じ女性なんですけど(笑)ちょっとした不快感からだんだんとすれ違いが大きくなったり、言った言わない、誘われなかった等々、気を使ったつもりが、逆の方に取られちゃったりもして、だんだんとその溝が大きくなっていく。野次馬目線で読むと楽しいんだけど、当事者になったら・・・と思うと、ちょっと怖い。まぁ、ゲンナリしちゃう気持ちもあるけどね。てか、個人的には人付き合いが苦手な方なので、どっちかと言うと「面倒くさっ」と思って、すぐに距離を開けたがる悪い癖があって、一人の方が気楽だなぁ~となっちゃうんですけどね;;;


”ママ友”という繋がりは、そのまま続けばいいんだろうけど、しょせん”同年代の子供がいる”というだけの関係。ちょっとしたキッカケで、育ってきた環境や価値観の違いがくっきりと表れてしまって、その関係がいとも容易く崩れてしまう。自然消滅できれば良いんだろうけど、それが子供で繋がっているとなかなか出来なかったりするんですよね。なんとも厄介な関係だなぁと改めて感じた作品でもありました。




(2013.05.07読了)




森に眠る魚
双葉社
角田 光代

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ラベル:読書 著者(か)
posted by すずな at 05:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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