「いつか陽のあたる場所で」「すれ違う背中を」に続くシリーズ3作目にして最終巻。
気付けばこのシリーズもTVドラマ化されていてビックリしたのでした。本当に最近、映像化が多いですね・・・って、またまたグチグチモードが始まりそうなので、この辺で止めておきます;;;
相変わらず、周囲に過去を悟られないようにビクビクと過ごす芭子に対して、大らかな綾さんという絶妙なコンビ。仕事の方も順調で、未来が描けるようになってきたのは良かったなぁと思いながら読みました。ちょっと浮いた話もあったりしたし。まぁ、綾さんのは「えー!?」という結末を迎えちゃったんですけどね。
そして、そんな事があったお陰で、芭子は綾さんが抱える思いを垣間見、綾さんの息子の行方を探そうと仙台へ向かう。息子の行方はある程度分かったものの大地震が起こり、芭子は仙台で被災する。
綾さんの出身地が仙台ってことだったので、東日本大震災に触れるのかなぁと思っていたら、もう、おもいっきりど真ん中できたなぁという感じでした。その震災が二人の運命を変えてしまうんですよね。綾さんは休みの度に被災地へパンを届けるようになるし、芭子は仙台で知り合い一緒に東京に帰ってきた南くんと時々、会うようになる。
そして、自分たちの犯した罪とまた改めて向き合う二人。読みながら、二人の罪の違いをまざまざと見せ付けられました。人を殺めるということの重さ。どんな理由があったとしても、人の命を奪うということはこういうことなんだと思い知らされたような気がします。
多くの人が亡くなった大震災から二人が辿り着いた答えは、私が想像していたものとは違っていたけれど、二人ともが未来へ向かって歩み始めたと思えるものでした。どうか、ささやかでもいい、二人がそれぞれに何かしらの心の安らぎを、そして幸せを感じられる日がきますように。そう願いつつ読了しました。
あとがきを読んでビックリ。芭子が仙台で被災した事、そして東京まで辿った道のりは、実際に乃南さんが体験された事なんだそう。こんな偶然ってあるんですね。それが、この結末になった訳で、そう思うとまた色々な思いが湧いてきます。元々、綾さんの出身地ということだったから、大震災をど真ん中に据えた展開もすんなり受け入れられたんだけど、もし震災がなかったらどんな結末になっていたのか、そちらもちょっと読んでみたい気もします。でも、これがこの作品の運命だったんだと思うと、やっぱりこれ以外の結末はなかったんだという思いにもなりますね。
(2013.03.03読了)
2013年03月13日
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