2013年01月11日

ギフト(日明恩)

死者が見える少年と過去の事件で心に傷を負った元刑事の交流と再生の物語。
・・・と書くと映画「シックス・センス」を彷彿させるんだけど、この作品でもまさにその「シックス・センス」が効果的に登場する。なので、読みながら「まさかあのラストのように・・・」とちょっとドキドキしたけど、さすがにそこまでは一緒じゃなかったようです(笑)


職場の方に借りた本。「積読本の山」削減強化週間の2冊目です!


日明作品という事で、派手なアクション(?)があるのかと思いきや、今作はちょっと趣が違っていました。「うわ、面白ーい!」とテンションが上がりまくるんじゃなくって、じわりじわりと心に沁みるような感じ。

死者が見えることによって両親にも疎まれてきた少年、明生と、過去の事件により孤独に生きる事を選んだ元刑事、須賀原が出会い、お互いの孤独を埋めるように、彷徨う死者の心残りを取り除いていく。誰にも理解されずにきた明生と、心の傷を抱えた須賀原の二人の孤独感が胸に痛い。そして、横断歩道で交通事故に遭った老婆、虐待された犬、池に落ちた少女、狂言自殺のはずだった女性などなど、死者の思いもまた同じように胸に痛いものでした。

死者と関わり彼らの心残りを取り除いているうちに、明生と須賀原の心の傷が少しずつ、少しずつ癒されていく。そして迎えたラスト。須賀原の過去が明かされ、明生は旅立っていく。まぁ、予想していたラストとそう大差ないラストで意外性はそんなに無かったけれど、須賀原についてはホッとできるラストで良かったです。ただ、明生の選択した道はちょっと辛いものがありました。出来るなら両親には理解してほしかったなぁと思いました。須賀原と出会って、希望を持てるようになったことは良かったけどね。

とはいえ、二人にとっては希望の持てるラストで、前を向いて歩き出した二人に声援を送りながら読了できたのは良かったです。



(2013.01.09読了)




ギフト (双葉文庫)
双葉社
2011-12-15
日明 恩

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ラベル:著者(た) 読書
posted by すずな at 05:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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