これが2013年の読書1冊目でした。
江戸を舞台に、ひょんなことから戯作者となった旗本が、それが故に騒動に巻き込まれていく様を描いた作品。
しゃばけのように妖は登場しないけれど、そこかしこにユーモアがあってクスリと笑える。時代物の軽~いミステリーって感じかな。主人公である旗本のお殿様、通称彦さんが、自分が巻き込まれた騒動を戯作に擬えて解いていくというのが面白かった。「この騒動の真相は・・・」となるところを、「これが戯作だったら自分はどう書くか・・・」と考えるところから謎解きをしていく。「戯作ですよ、戯作。」と言いながら、それが本当の真相だったり、現実をそういう風に解決していったり・・・。今までのミステリーとちょっと違ってて、そこが目新しくって、読みながらこれをどういうオチにするのかな、とワクワクしたりもしました。
当時は盗作をしたり、禁書を出したり、話題になりすぎたりすると、その刑罰が極刑だったりして、かなり厳しかったんだなぁというも分かって、そこも興味深かった。お陰で、彦さんが危険にさらされたりした時はヒヤヒヤしたけどね。まぁ、ヒヤヒヤよりも、その理不尽さに憤ってた方が大きかったような気もするけど(笑)これは物語だったから助かったけど、実際には、こういう理不尽な事で命を奪われたりしたこともあったんだろうなぁと思うと、ちょっと重い気持ちにもなったりもしました。
最初は乗り気じゃなかった彦さんだったんだけど、最後は戯作者としての本能が目覚めて書くことの楽しさを実感する。そして、本好きな仲間がいることの嬉しさを感じるラストが良かった。読んでるこちらも嬉しくなったし、すごく共感できるラストでした。
また、彦さんや勝子さん、山青堂さん達に会いたいなぁと思うけれど、このラストだとなさそうな気もするなぁ・・・。
(2013.01.03読了)
2013年01月07日
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けさくしゃ 畠中恵
Excerpt: けさくしゃ著者:畠中 恵新潮社(2012-11-22)販売元:Amazon.co.jp 版元の山青堂です。超超超目利きな、今で言う編集者です。旗本のお殿様・高屋彦四郎様(通称彦さん)を戯作者にスカウト..
Weblog: 苗坊の徒然日記
Tracked: 2013-01-07 09:06
今年もよろしくお願いいたします^^
私も新年1冊目がこの本でした。
面白かったですよね~。江戸時代は更にいろんな縛りがあって大変そうでした。
彦さんが何だかいろんな厄介事に巻き込まれて大変そうでしたが、それでもやっぱりお話は書いてほしいなーと思いました。
続編は確かになさそうな雰囲気ですね。残念です^^;
あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願います!
おぉ、苗坊さんも新年1冊目がこれだったんですね♪
面白かったですよね~。江戸時代の出版事情に興味津々で読みました。今とは違った縛りがあって、刑罰も重くって、大変そうでしたね。
彦さんの書いたお話をもっと読んでみたいと思いますが、続編はなさそうで残念ですね。