2012年12月15日

ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷(宮部みゆき)

はぁ~終わったぁ・・・。
電話ボックスのエピローグから始まって、ようやくここまで辿り着いたなぁ。本当に長かった。長かったけど、途中でそんなにダレることなく最後まで一気に読めたなぁ。宮部さん、流石だなと思うと同時に、この長ぁーい小説を読み切った達成感も感じられて、なんだかすごい満足感を味わう事が出来ました。まぁ、内容的には、そんな”満足感”を感じられるような明るいものじゃなかったんだけどね;;;


きっとネタバレします。
なので、未読の方はご注意を!









第Ⅱ部で、大体の予想が出来ていた和彦に関しての事だったんだけど、まさかそこまで!と驚くくらい真実は重苦しいものでした。そういう意味では予想は外れたってことになるのかな。彼がそこまでのものを背負っていたとは思いもしなかった。辛かっただろうなぁという言葉があまりにも軽々しく感じるくらい。それなのに、弁護人としてあそこまで裁判を引っ張っていけたというのが凄い。責任感とかそういうものに突き動かされたんだろうけど、それでも凄すぎる中学生だよ;;;おまけに、樹里のことも救っちゃったし。彼に関しては、凄いなぁという言葉しか出てこない気がする。

そうそう、樹里!彼女は最後まで嫌なヤツだったなぁと思ったら、最後の最後でまさかの言動。和彦の気持ちが届いたからこそなんだろうけど、最後に樹里の心が少しでも解けたのは良かったなぁと思いました。

それにしても、柏木卓也にみんなが翻弄されまくったんだなぁと思うと、すごく悔しい。確かに「死」というものに何ら影響されないというのがおかしいとは思うけれど、それでも彼の行動にあれだけ沢山の人々が翻弄されたのだと思うと、なんていうんでしょうか、怒りすら感じてしまいます。死人も出たし、深い傷を一生背負っていかなければならなかった人もいる。もちろん、死人に鞭打ってどうなるの?とも思わないでもないけれど、この作品で描かれていた卓也像というのが、自分の死に対して右往左往している人々を高みから見下ろしているような印象を受けるものなので、そう感じてしまう自分を止められない。一言で言えば「柏木卓也、ムカツクーっ!」って感じです。・・・大人気ない反応ですみません;;;

この事件を通して一番、成長したのは野田くんだったんでしょうね。最初に登場した時と比べると、彼はすごく変わったなぁと思えます。野田くんに関しては、途中で両親との軋轢が描かれていて、これって必要なのかなと思ったりもしたんですが、和彦の告白を聞いて、それを受け止める野田くんを読んで、あぁ、この為だったんだ!と納得しました。

野田くんだけじゃなく、法廷に入る前に様々な登場人物についてかなり書き込まれていたんだけど、それが最後に意味のあるものになっていく、様々な事柄が連鎖してあのラストになっただなぁと思えました。最初は3冊のボリュームに負けそうになったんだけど、最後まで読めて良かったなぁと、そんなことも思ったりしたのでした。ボリュームに負けずに、飛ばし読みやら、斜め読みやらなんてことをせずに、きちんと最後まで読んだアタシは偉い!と自分で自分を褒めたくなりました(笑)


最後に登場したのは野田くん。あれから彼らはどんな人生を送ったのかなぁと気になりましたが、こういうラストが待ってるとは!ちょっと嬉しかったんですが、欲を言えば、涼子や和彦がどんな人生を歩んでいるのか、それも知りたかったなぁというのが正直なところです。

一人の中学生の転落死から始まった小説で、全編に重苦しさが漂うものでしたが、ラストは、生きてる人々にはみな何らかの救いがあって、希望の持てる感じだったのは良かった。ちょっと涙腺を緩ませつつ読了。少しの嫌悪感を感じつつも、それよりも多くの安堵感と達成感に包まれながら「はぁ~終わったぁ・・・。」と、閉じた本を撫ぜたのでした。




(2012.11.27読了)





ソロモンの偽証 第III部 法廷
新潮社
宮部 みゆき

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ラベル:読書 著者(ま)
posted by すずな at 07:06| Comment(4) | TrackBack(5) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。
私も読み終えた時はクタクタでした。疲弊とはまさにこの事かと^^;
何となく真相は読めてはいたのですが、その予想よりはるかに超えたものがたくさんありましたよね。
和彦の事もそうですが、樹里に関してもそうです。私も最後にあんな行動をするとは思いませんでした。
私も柏木にこんなにみんなが振り回されて、本当にかわいそうで悔しいと思いましたけど、この事件を機に変わった人もたくさんいましたよね。特に野田君。彼は変わりましたよね。
面白かったですが、ただただ疲れた…というのが感想です^^;
Posted by 苗坊 at 2012年12月15日 20:08
>苗坊さん
まさに疲弊って感じでしたね^^;面白かったんですけどね。
和彦の真相や樹理の最後も予想外でしたね~。なので、最後まで楽しめたのかなと思います。
柏木にはムカつきますが、確かに野田くんを始めとして、みんながこの事件を機に良い方に変わったんですよね。最後は希望の持てる感じで良かったです。
Posted by すずな at 2012年12月18日 12:33
登場人物それぞれのドラマがあって、成長があって、本当に読み応えがありましたね。長かったけど、読んだ甲斐のあるラストが待っていたので、十分報われたなぁと思いました。
私も、エピローグは他の人のその後も書いて欲しかったと思いましたが、そこを敢えて書かないのが宮部さんらしいのかな、とも思いました。
Posted by べる at 2012年12月24日 09:21
>べるさん
たくさんの登場人物、それぞれにドラマや成長があって読み応えのある作品でした。読了後の達成感はかなりのものがありました(笑)
確かに、エピローグで他の人について書かないのが宮部さんらしいのかもしれませんね。
Posted by すずな at 2012年12月25日 12:46
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