小路さんの刊行ペースが速くてなかなかついていけません;;;私もですが、図書館もついていけないようで、この作品もようやく入荷してくれたので読めました(笑)・・・って、待ってないで買えよ!って話ですが;;;基本的に「本は文庫本で買う」と決めてるので、ね。読みたい本を全部、単行本で買ってたら、収納場所やらお財布様の中身やらが大変な事になってしまいます~。
ということで、ようやく読めたこの作品。小路さんらしい作品だなぁと思いながら読みました。過酷な状況なのに、それがそんなに切羽詰った感もなく、淡々と、というよりも飄々と日々を送っていく主人公達。悪人もなく、周囲には概ね良い人ばかりが集まっていて、何かと助けてくれたりもする。今回もそんな作品だなぁ、とね。あ、それがダメってことじゃないんですよ。ご都合主義と言われようと、それが心地よくほっこりとなれて、安心して読めるというのが小路作品の良さだと思っているので。
ところが、ところが!最後の最後にかなりビックリの事実が分かりまして。さすがに、どっひゃぁ~!と思ってしまいました。これは、かなりスンゴイことじゃないだろうか。読みながら思わず絶句しちゃいましたよ。この衝撃はなかなかでした。
長男の山(さん)、長女の紫(ゆかり)、次男の水(すい)、次女の明(めい)。4人で「山紫水明」と名付けられた彼らはそれぞれ母親が違っている。そして、どの母親も家を出ていて、父親と5人で暮らしていた。ところが、ある日突然、父親が亡くなり、4人がそれぞれの母親と会う旅を始めることにしたのだが・・・。
大学生から小学生の子供たちを残して父親が亡くなったというのも、なかなか過酷でしたが、そこらへんはね、淡々と描かれていて、その事の重大さがあまり気にならないんですよね。父親が亡くなったって、なかなかハードなことなんだけど、読みながらそこまで重くならないのが、小路作品の不思議さです。
そして始まった母親に会いに行く旅。歓迎されないまでも、みなそれぞれが快く会ってくれる。でも、同行した恋人達はちょっとした違和感を感じずにはいられない。それは、父親と離婚した理由によるものなのか・・・。離婚の理由をハッキリと教えてくれる母親はいず、父親との約束で「不必要なものは与えない」と決めているからと告げられたりもして。え、なに?離婚の理由ってなんなのー!?と、読みながら、すごーく気になりました。
そして、最後に分かるその理由ってのがねぇ。それって、それってーっ!と思わず叫びそうになりました。「山紫水明」と四文字熟語できちんと名前を付けられた理由。それを考えれば予測できてただろうに、それには全く気付きませんでした;;;ちょっと悔しい。
それにしても、4人の父親はもちろんですが、彼ら家族を支えつづけてくれたハマさんや朝美さんや神崎さんは本当に凄いなぁと思った。彼らの絆の強さにも。まぁ、神崎さんはあまり登場しなかったけど(笑)そして、はるかちゃんも何気に凄い。彼女の強さには脱帽でした。
これから、この4人の兄弟には様々なことが待ち受けているんだと思う。誰かが彼らの出生の秘密に気付いたりもするだろうし。でも、4人の絆やそれぞれのパートナーの助けで、きっと乗り越えていくんだろうから心配はいらないなと思えました。
素敵な”家族”の物語でした。うん、良かった。
(2012.12.29読了)
2012年12月31日
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Tracked: 2013-01-12 00:35
本当に小路さんはおっつかないですよね。過去の作品も読みたいと思っているのですが新刊を追っかけるだけで手一杯です^^;
兄弟4人の旅良かったですよね。小路さんらしい素敵な作品だなと思ったらまさかの最後の展開に驚きました。でも、きっとこの4人なら大丈夫だろうなと思いました^^
小路さんの刊行ペースは早すぎてついていくのが大変ですよねー。必死です^^;;;
小路さんらしい心温まる優しい作品でしたね。でも、最後の展開にはビックリでしたよねー!色々あるだろうけど、この4人ならどんなことがあっても大丈夫だろうなと思えるラストだったので良かったですね。