母と妹の3人で暮らす中学一年生の進也。ある朝、目覚めると知らない男性が台所で体育坐りで寝ていた・・・。
朱川さんらしい、どこかに傷を持ちながら暮らしている人々を優しい目線で描いた温かい物語。・・・だったんですよね、前半は。あ~好きだなぁと思って読んでいたんですが、だんだんと「あれ?」と思うような方向に進んでしまって・・・。最後まで微妙な違和感が消えないままで読了しちゃいました。ちょっと残念だったなぁ。
夜の仕事をしている母がいつものように連れて来たチキさんは、母の新しい彼ではなさそうなんだけど、何か事情を抱えているらしい。でも、今まで母が連れて来た男性とはちょっと違う。そんなチキさんが、幼い兄妹とだんだんと打ち解けていく様子が心地よい。妹の亜由美は最初から馴染んでる様子だったし、妹の障害が自分のせいだと責めつづけている兄の進也の心も解していく。
それにしても、チキさんの作るお料理の美味しそうなことと言ったら!簡単そうで、すぐにでも真似できそうなのがまたねぇ。読みながら、どれもこれも食べたくなって困りました(笑)そして、チキさんの幸せな家の条件「新しいタオルと新しい卵」というのは、すごく分かりやすい例えで、「なるほどね~」と思った。
温かい気持ちになって、このままこの幸せが続くといいなぁと思ってんだけど・・・。チキさんの持つ超能力が思わぬ波紋を呼んでいくんですよね。その展開は分かるんだけど、ここで地下鉄で毒薬を捲いた実在の宗教団体と絡めたのは何故なんでしょう。どうも、そこら辺から違和感と言うかね、しっくりこない感じで、それが最後まで続いてしまったんですよねぇ。ホント残念でした。
(2012.11.19読了)
2012年12月05日
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