地元図書館HPの「新刊図書」で目に止まりつつ、「三谷さんの小説かぁ・・・」という思いがあってなかなか手が出なかったんですが、やーっぱり気になったので勇気を出して(失礼!)予約ボタンをポチッとしたのでした。ちょうど「信長の茶会」という小説を読んだ後にこの作品を手に取る事になって、タイミングの良さを感じつつの読書となりました。
「本能寺の変」で信長が討たれ、討った光秀も秀吉によって滅ぼされた後、織田家の後継者を決める為の会議「清須会議」を題材にした三谷流時代小説。
最初に「本能寺の変」の信長のモノローグ(現代語訳)から始まる。この(現代語訳)ってのに「上手いなぁ・・・」と唸らされましたねぇ。時代小説なのに、歴史上の人物達が思いっきり現代語でつぶやいてるんですもん。”イニシアチブ”とか”プレ会議”という言葉が出てくる、出てくる(笑)お陰で、三谷テイスト大爆発って感じで、いろんな所に笑いの種が隠れていました。もうね、読みやすさも抜群だし、うぷぷぷぷ、うはははは、ぶぶぶぶっと笑いっぱなしの1冊でした。
おまけに、一つの場面で誰か一人だけじゃなくて、そこにいた人全員のモノローグが書かれているもんだから、この人がこう思ってたとき、この人はこんなことを考えてたのか!そういうことだったのか!と、いろんな人々の思惑やら駆け引きが読めたのも面白かったですね~。勝家の実直なところは今まで時代劇やらで描かれていた印象そのままなんだけど、それ以上に勝家のトホホ;;;ぶりが強調されてて、楽しませてもらったり、逆にとっても切なかったりもしました。
清須会議は史実なので、「そうきたかー!」な大どんでん返しみたいなものは感じられなかったけれど、それでもちゃんと楽しめました。「時代小説」としてではなく、普通の「ユーモア小説」としては、ね。個人的には、これを「時代小説」に分類するには、ちょっと抵抗を感じてしまいます。
そんな訳で、普段、時代小説を読みなれてない人にはお勧めできるけれど、時代小説が大好きな人に勧めるにはちょっと勇気がいるかなぁとは思います。私は時代小説も好きで、そういうジャンルの本も結構、読むけれど、これはこれで割り切って(というと、言葉は悪いけれど)楽しめたんですよねー。でも、みんながみんなそうじゃないと思うし・・・。まぁ、タイトルで惹かれても、表紙を見れば武士がスマホを持ってたりするからね。そこで受け入れられない人は手に取るのを止めるかなぁとは思うんだけど。
ということで、そういう所を気にしなければ、手軽にさくさく読める楽しいお話でした。大どんでん返しはなかったけれど、最後にちょこっとだけ「おぉ!」って思った部分もあったしね。
(2012.09.25読了)
2012年10月04日
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題材にされた会議
Excerpt: 小説「清須会議」を手に取ってみた。 作者は三谷幸喜氏、 彼の感性は嫌いではない。 戦国時代の史実、清須会議という、 まさに信長亡き後の、 戦国の世の流れを決する会議を、 ...
Weblog: 活字の砂漠で溺れたい
Tracked: 2013-11-11 22:03
僕は司馬遼太郎フリークです。でもこの小説は何となく許せてしまう、という気分です 笑
あ、分かります!”なんとなく許せてしまう”気分になりますよね~。
うはうは笑えて楽しい小説でした。