2012年09月01日

月と雷(角田光代)

モテ続けてきた智なのに、30代になっても結婚できない。恋人に「結婚しよう」と言うと逃げられてしまう。何故なんだろう。でも、きっとそれは母親と過ごしたあの日々が原因なんだろう。誰かのお世話になりながら、転々と各地を移り住んだ日々。そういえば、一時期一緒に過ごした泰子ちゃんとの生活は楽しかった。泰子ちゃんはどうしてるだろうか。そうだ、泰子ちゃんに会いにいってみよう・・・。


もうね、なんかね、最初から最後まで智に共感出来ないまま、寄り添えないまま読了しちゃったって感じでした。お金がなくなったらバイトして、当座の生活が出来るくらいお金が貯まったらバイトは辞めて、「そうだ、泰子ちゃんを探しに行こう!」とかって後先考えずに出かけていく。どうしたらそういう思考回路になっちゃうのか。言動のひとつひとつが理解できなくて「はぁ!?」って感じ。智の母親にしたってそう。周りがほっとかないってのは分かるけど、どうもね、そういう行き当たりばったり的な生き方って、性に合わないっていうかさぁ。フラフラ~と「なるようになるさ~」みたいに人生を歩いていくってのが、私には到底、無理。この親子、なんなんだ一体!

と、ちょっとムッとしながら読み進めた。いや、私がムカツク理由なんてないんだけどね(笑)なんかさ、毎月、イライラしながらも我慢して働いてお給料貰って、将来に一抹の不安を覚えながらその不安を少しでも解消すべくチビチビと貯金する。そんな日々を送っている自分と比べて、そのお気楽な感じがね・・・。そんなことしなくったって、生きていけるんだよねぇ~。イヤならやめればいいじゃーん。とかなんとか、なんだか鼻でふふんと笑われてるような、そんな気分になってしまって・・・。そういう人生を送れれば、そりゃ、楽だろうけど、でも、現実的に考えて無理じゃないかーっ。そんな先の分からない人生を送るなんて、がっちがちに固い私には無理だし。・・・って、もうこれって、単なるヤッカミとか、そういうレベルじゃないですか;;;小説の登場人物にそんな感情持ってどうする!?って感じですな(笑)

そんな、イヤぁ~な気分になりながらも、なんだか智から目が離せないの。どうしてだか、先が気になって読んじゃうんだよねー。不思議。

突然、会いにきた智に戸惑いながらも、なんだかんだと受け入れてしまう泰子。結婚を考えていた恋人もいたっていうのに、気がつけば智の子供を妊娠してしまって・・・。

この泰子ちゃんもなかなかでした(笑)よくまぁ、あんな智を受け入れたなぁ・・・。どうしてこうなっちゃったんだろうと、首を捻りながらも、引き返せない。ここを突き進むしかない、そんな感じだったけど。子供の頃の思いというか、そういうものからは逃れられない、忘れられないってことなんでしょうか。

うーーん、よく分からないけれど、こういう人生もあるんだなぁと、そんなことを思ったお話でした。ちょびっとだけ羨ましいなぁと思う気持ちもあるけれど、私には無理。出来ないよ、と思ったのでした。




(2012.08.19読了)




月と雷
中央公論新社
角田 光代

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ラベル:読書 著者(か)
posted by すずな at 06:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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