2012年08月31日

花のさくら通り(荻原浩)

ユニバーサル広告社を舞台にした「オロロ畑でつかまえて」「なかよし小鳩組」に続くシリーズ第3弾。

まさか、こんなに間が開いてから続編が読めるとはねぇ!と、驚きの第3弾でした。今回の舞台は寂れた商店街。潰れかけのユニバーサル広告社が家賃の関係で引っ越してきて、いつしか商店街の再生の為に奔走する事に・・・。


最初は、寺の息子と教会の娘のロミジュリばりの恋愛劇がメインかと思いきや、そっちはスパイス程度でして。あれ?あれれれれ?と、ちょっと肩透かしを食らった気分にはなりました。だって、帯の文章がぁーっ。あれを読んで、この二人がメインで親同士の諍いや大反対が繰り広げられるのか思ってたんだよねぇ。ところが、親の反対とか全くなくって(笑)まぁ、息子の方はちょっとウダウダと悩んだりもしたけど、二人の恋愛に関して言えば、わりあいすんなりカップルになっちゃいましたね~って感じでした。最後にはなんだか商店街公認みたいになっちゃってるし(笑)

それよりも、商店街の活性化がメインでして。老舗と新規参入店舗との軋轢とか、なんとか新しい風を入れて復活を!と頑張ろうとしている跡取達と変化を好まない商店街を牛耳るじじばばとの攻防戦。そこに、ユニバーサル広告社の面々がいつの間にか巻き込まれていく。放火犯を捕まえたり、商店街の祭り、かつての賑わいがすっかり影を潜めた団地への出張販売などなど、ちょっと哀切を感じながらも、ドタバタ劇を眺めているようで楽しかった。

ユニバーサル広告社の杉山が、離れて暮らす娘の早苗と手紙で交流し、父親としてやきもきしたりする様子も描かれていて、そこも良かったなぁ。ちょっと切なくもあったけどね。


なかなかボリュームがあって、ちょっと冗長さを感じたりもしたけれど、全体的には楽しめた作品でした。


(2012.08.18読了)






花のさくら通り
集英社
荻原 浩

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ラベル:読書 著者(あ)
posted by すずな at 05:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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