道尾版スタンド・バイ・ミーって感じかな。
小学4年生の利一を主人公に、仲間達と過ごした少年時代の冒険物語。写真に撮られた真っ赤に染まった水の謎や洞窟探検、引っ越していく友人に贈り物をする為に電車で遠い町へ向かったり、友人の祖母に蛍を見せるために頑張ったり、最後には誘拐事件にまで巻き込まれてしまう。
オトナになったら鼻で笑っちゃうような、あの頃にしか出来ない大冒険があるかと思えば、生命の危機を目前に仲間達と決死の脱出を試みたりと、オトナでも陥りたくない状況にホントに陥っちゃったりもする。ぶははははと笑い飛ばしたかと思えば、切なさでちょっぴり涙ぐんじゃったり、ハラハラドキドキバクバクしたりと、なかなか楽しい読書が出来ました。
ただ、ミステリー調ではあるものの、道尾作品だとついつい期待しちゃうような「驚愕の大どんでん返し」はないんですよねぇ。そこは、ちょっと物足りないというか、ね。最後まで読んで、「あれ?これで終わりなのかぁ・・・」と、ちょっぴり残念に思ったりもしたのでした。
仲間たちに囲まれてキラキラ輝いていたあの頃を懐かしく、ちょっぴり羨ましく思い返せる。ほっこりと温かい気持ちになれる。そんな読書が出来る作品かな。まぁ、これはこれで良いと思いますが、個人的にはもうちょっとピリピリヒリヒリするような道尾作品が読みたいなぁと、そんなことも思ってしまうのでした。
(2012.07.18読了)
2012年08月04日
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でもでも、やっぱり、もっとあっと驚くどんでん返しの道尾ミステリが読みたいですよね(なんか、最近ミッチーのレビュー書く度に同じこと書いてる気がしますが^^;)。
子供の頃のことをアレコレ思い出しましたね~。
少年たちの姿が微笑ましくって、私もしっかりおばちゃん目線でした(笑)
これはこれでとっても楽しんだけれど、やっぱり道尾さんのミステリが読みたくなりますよね…。