著者初エッセイ集。
とはいえ、髙田郁名義で書かれたものではなく、平成17年4月から平成21年9月までの4年半に渡って、漫画原作者「川富士立夏」名義で漫画雑誌「オフィスユー」に掲載されたエッセイをまとめたもの。
漫画原作者から時代小説家として歩き始めた頃に書かれたエッセイだったので、ある日、本屋さんでふと手にした「みをつくし料理帖」から、髙田さんの著作を涙しながら貪り読んだ、そんな出会い日からの日々を思わず振り返りたくなったエッセイでした。
「そこまで書いちゃっていいの?」と思えるような事柄まで赤裸々に綴ってあって、ちょっとビックリ。中学生の頃、教師の心無い一言から始まったいじめがエスカレートし、肋骨骨折と内臓損傷で入院した事、交通事故に巻き込まれ後遺症に苦しんだ日々、阪神大震災のこと、亡き父親の闘病生活の思い出などなど。読みながら、胸がぎゅーっと締めつけられるような心地になることも何度かありました。
でも、どんな困難に遭っても、最後は「頑張ろう」という気持ちを持って歩んでいこうとする髙田さんの気持ちが伝わってもきました。あ~こんな著者だからこそ、みをつくし料理帖の澪ちゃんのような、困難から逃げずに正面から立ち向かっていく主人公達を描けるんだなぁと思えたんですよね。
「みをつくし料理帖」の次作の発売がいつもより先になった理由や、先延ばしにしてまで書こうとされているお話にも触れられていました。そんな理由なら、しょうがないなぁ、待ちますよ!と読みながら思ったのでした。←エラソウ;;;
てか、そのお話も早く読みたいよー!・・・と、読者の我が儘(笑)
文章のどこかしこからも、著者の優しさや細やかな気遣い、温かさが伝わってきて、読みながら癒される、そんなエッセイ集でした。
(2012.08.16読了)
2012年08月29日
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ずいぶんと苦労をされた人なんだね。涙雨が豪雨になりそう。
うん、色々とご苦労があったみたいです。
でも、だからこそ、あんな物語が書けるんだなぁと思ったよ。