2012年08月22日

話虫干(小路幸也)

最初、このタイトルの読み方が分からなくって・・・。えーっと、「わちゅうかん??」とかアレコレ考えてたら「はなしむしぼし」でした。素直に読めば良かったらしい(笑)

夏目漱石の「こころ」を舞台にしたお話、という前知識と表紙のイラストから、明治を舞台にした物語だと思って読み始めました。小路さんが書く明治を舞台にしたお話って読んだ事がないような・・・。どんなお話なんだろうとワクワクしながら読み始めたんですが、・・・あ、あれ?ちょっと違うみたい、ね?


馬場横町市立図書館に保存されている初版本。その内容がいつのまにか書き換わっている。それは、話虫(はなしむし)が本の中に入り込んでいるからで、館員は”虫干し”して元の状態に戻すのも仕事のひとつになっている。新人館員の糸井は上司の榛と共に、書き換えられた漱石の「こころ」を虫干しすることになるが・・・。


思いっきりSFでした!図書館の館員が話虫によって書き換えられた名作の中に入り込んで、話を元の状態に戻そうとする。主人公が物語りの中に入り込むっていうのは、エンデの「はてしない物語」にちょっと似てるかな。

今回、「こころ」の中に入り込んだ話虫は、どうやら「K」の自殺を止めようとしているらしい。糸井と榛はそう推察し、物語を元の状態に戻そうと画策する。図書館員の糸井が「こころ」の世界に入り込んで「先生」や「K」と交流してるよ。・・・うわ、二人の友人になってるよーっ!おまけに、二人にちゃんと名前が付いてるよーっ、と、なんだか違うところでテンションがあがってしまいました(笑)

おまけに、漱石本人が登場するは、森鴎外の「舞姫」に登場するエリーゼ、小泉八雲に、最後は、なんと、なんと!シャーロック・ホームズまで登場しちゃったじゃないですか(笑)いやいや、もうね、ホームズまで登場した時には思わず爆笑しちゃいましたよ。やるな~小路さん!ホームズ好きな私としては、もちろんテンションがあがりまくりましたよ。名推理とか披露しちゃうのかしらとワクワク。でも、期待してたほどには活躍しなかったので、そこはちょっと残念だったかなぁ。

こんなに混沌としてきて、最後はどうなっちゃうんだろう。そして、糸井は友人となった桑島が自殺するように仕向けなきゃいけないんだろうか・・・。楽しく読みながらも、ラストは暗いお話になっちゃうのかとヤキモキしながら読み進めたんですが、「そうきたかー!」なラストにホッ。まぁ、荒技と言えばかなりの荒技なんですが(笑)、今回はこのラストで良かったなぁと思えました。

読んでる間中、ワクワクしてとっても楽しかった!


漱石の「こころ」を読んでなくても楽しめる物語だとは思いますが、読んでいれば糸井たちと一緒に「あれ?あれれれれ?」と感じられて、もっと楽しめるかなと思います。


(2012.08.13読了)




話虫干
筑摩書房
小路 幸也

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ラベル:読書 著者(さ)
posted by すずな at 05:15| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは^^
思いっきりファンタジーでしたね~。
こういう司書も面白そうですが、私は何だか失敗しそうで怖いので勤められません^^;
私もホームズのくだりは爆笑しました。そこまで!っていう。
賛否両論ありそうですが私は割と好きでした。ただ、私は「こころ」は授業でならった3部のところしか知らないんです。全部読んでからだったらまた違ったのかなぁとちょっと後悔してます^^;
Posted by 苗坊 at 2012年08月22日 11:07
>苗坊さん
こういうお仕事も楽しそうですが、確かに「失敗しちゃったら;;;」と思うと怖くて私も出来ないかなぁと思います^^;
ホームズまで登場しちゃったのには笑っちゃいましたよね~。私も楽しめたので良かったですが、受け入れられない人もいそうですね…。
あ、このお話って3部のところがメインだったので、3部を読んでれば大丈夫だったんじゃないかなぁと思いますよー。
Posted by すずな at 2012年08月22日 12:40
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話虫干 小路幸也
Excerpt: 話虫干著者:小路 幸也筑摩書房(2012-06-07)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見る とある町の図書館に出没する話虫(はなしむし)。漱石「こころ」のなかに入り込み名作はメチャクチャに。..
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