言わずと知れた明治の文豪。その彼の代表作のひとつ。
漱石の作品は教科書に掲載されていた文章は読んだけれど、こうしてキチンとした形で読んだのは初めて。「坊ちゃん」とか「我輩は猫である」とかはね、読みやすそうだし、猫好きとしては読んでそうなんだけど、実は全く読んだ事がないんですよね~。
それなのに、どうして突然、手に取る事になったのか。実は、この後に読む小路幸也さんの「話虫干」は、この「こころ」をベース?にした作品のようで、それならこっちを先に読んでた方がいいのかなぁと思ったのがキッカケ。とはいえ、途中で挫折して小路作品を読み始めちゃったんですよね;;;だって、「こころ」って思ってた以上に長編なんですもん(笑)ちょうどロンドン五輪観戦中で、こういう重くて長いのはちょっとしんどかった。ところが、小路作品を読み始めたら、やっぱり先に「こころ」を読んでからの方が楽しめそうだったんですよねー。「あぁ、これはちゃんと読んでからでなきゃ!」と思い直して、再挑戦してなんとか読了したのでした。
・・・前置きが長い;;;
「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の3部作からなる、連作短編集のような感じ。
「先生と私」は、先生との出会いや、先生の人となりなどが書いてある。
「両親と私」は、体調を崩した父親の元へ帰った私の故郷や両親との日々、そして、父が危篤状態となった時に先生からの分厚い手紙を受け取り、父を置いて先生の元へと急ぐ為に列車に飛び乗ったところまで。
「先生と遺書」は、3作の中で一番長く、短編というよりも中編と言った方がいいかな。私が受け取った先生からの分厚い手紙の内容になっていて、先生がどうして今のような人になりになったのかが窺い知れる青春時代のことが書いてある。タイトル通り”遺書”と呼べるもの。
前半2作は、そこまで重い内容でもなく、それなりに手軽に読めるかな。もちろん、何かを背負ってるらしい先生との会話や、父親の病気がだんだんと重くなっていく様子は、読んでいて楽しいものではないんだけどね。でも、後半の先生の遺書に比べれば・・・。
最後の1作は、先生が大学生の頃のこと。親戚との軋轢、親友との親交の様子や下宿先の娘さんとの交流。そして、それらがもたらした結果を先生の手紙という形で書かれている。最初はそこまで重くはないんですよね。もちろん、両親が亡くなった後の親戚との軋轢は、なかなかのものなんだけど。ところが、後半になると一気に重みを増していく。最初の作品で書かれている先生の学生時代の親友の死の真相。・・・まぁ、途中まで読んでいけば、おおよその予想はつくんだけど。そこへ向かって一気に書き上げてあるという感じ。
で!その手紙というか遺書で終わるんだけど、私的にはその後が気になるんですけどーっ、と叫びたい(笑)先生の手紙を受け取って列車に飛び乗った私のその後がね、すんごい気になる。気になるので、ついつい最初の「先生と私」を再読しちゃうんだけど、そこには、列車に飛び乗った後の私の様子には触れられてないんですよね。想像は出来るけど、出来れば、私がどうしたのかってところまで読みたかったなぁと思ってしまいます。なんだか、中途半端な状態で放り投げられちゃったような、落ち着かない気持ちになりました。
・・・それが、漱石の策略?なのかしら;;;でも、このモヤモヤした気持ちをどうにかして欲しいんですけどーっ。なんだかスッキリしないんだよなぁ・・・。
・先生と私
・両親と私
・先生と遺書
(2012.08.12読了)
2012年08月21日
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へ~そうなんですねぇ。知らなかった^^;
「こころ」は傑作というのは目にしたんですが、漱石作品をまともに読んだのが初めてだったので比べようがなくて^^;だからなのか、「吾輩は猫である」とか「坊ちゃん」の方が面白そうな気がしたりも…。