雨になりそうなだぁ。でも、1時間くらいなら大丈夫かな。いや、念のため、洗濯物は取り入れてた方がいいかなぁ。外出の時、空を見上げてアレコレ思案する。そんな時、気象に関しての知識を持たなくても、それが予測できたら・・・。あぁ、便利だろうなぁ。そんな能力が欲しいなぁ。な~んてことを思っちゃいます。このお話は、そんな能力を持った一族のお話。
気象庁に勤める美晴は、10代の頃に事故で両親を亡くし、小学生の息子と二人暮しをしている。ある日、行方知れずの兄からの便りに導かれて、かつて両親が暮らしていたという郷を訪れることに。そこで知らされた美晴の持つ能力や一族の事。郷から戻った美晴を待っていたのは、あるプロジェクトへの参加だったが・・・。
自分の持つ能力や一族の歴史も知らされず、訳の分からないまま動かされる美晴。特殊な能力を持っていたら便利だろうけど、自分の知らないところで物事が動き、自分の意志とは関係ないところで動かされたり、能力を発揮しちゃったりするってのは、やっぱりイヤだなぁと思った。それが、善いことであったとしてもね。
おまけに、能力があっても自然を完全にコントロール出来る訳ではなく、災害を未然に防げる訳でもない。だから、予知が出来るからこその後悔ややるせなさまで感じてしまう。結局、人間は自然の前では為す術もないんだということを改めて感じさせられたりもしました。
・・・と、なんだか暗い作品のような感想になっちゃったんだけど、実はそんなことはなくって(笑)
現代科学の進歩やほとんど皆無に近い気象に関してのアレコレを興味深く読んだり、美晴や息子である楓太の能力が発揮されていく様子や、彼らの能力が現代科学と上手く噛み合って期待以上の成果が上がったりする様子にワクワクドキドキしたり、一族の老婆の生き方に涙したりと、色んなものがてんこ盛りで楽しく読めました。ただ、最後には楓太の能力が消えちゃったらしいことは、ちょっと残念だったけどね。
読了後、空を見上げて雲を眺めては、この雲はこれからどうなるんだろうとかね、あれこれ創造する事が多くなりました。
(2012.08.12読了)
2012年08月20日
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