同じ町のある雨降る日を舞台にした連作短編集。
短編に共通するテーマは虐待。なので、読んでいて気持ちの良いものではありません。5時までは帰ってくるなと言われている子供、娘に手を上げてしまう母親など、虐待を受けている側と手を上げている側のどちらもが描かれている。
読みながら重苦しい気持ちになって、途中で止めたくもなりながらなんとか読了。堪らない気持ちになるものの、どのお話にも最後には一筋の希望が描かれているのが救いだった。周囲の人々から差し伸べられる手。その優しさに少しホッとしつつ読み終えられることに、感謝というかね、そんな気持ちになりました。
とはいえ、内容的にはホッとできるものではないんですよね。辛いとかシンドイって言葉では到底足りない、この重苦しさをどんな言葉で表せばいいのか私には分かりません。これを「物語だから」で片付けられない現実があるというのも、その重苦しさのひとつであるんでしょうね。現実では、誰からも手を差し伸べられないまま消えていく小さな命も数多くあります。そんなニュースに触れるたびに、堪らない気持ちになります。どうして、何も出来ない子供にそんなことが出来るのか。私の理解を超えている・・・。
この作品では、そんな大人の、止められない苦しさも描かれている。読んでいて、共感は全く出来ないけれど、その苦しさの一端は分からないでもないかなぁと思ったりもしました。でも、やっぱり子供に向けられる暴力は赦せるものではないけれど。
シンドイ読書ではあったけれど、それぞれのラストで人の優しさに触れ、希望の光を見出せるものがあったのは良かった。
・サンタさんの来ない家
・べっぴんさん
・うそつき
・こんにちは、さようなら
・うばすて山
(2012.07.15読了)
2012年08月03日
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