この著者の「髪結い伊三次」シリーズのコンプリートを目指してから結構な時間が過ぎたっていうのに、いまだにコンプしてないんですよね;;;最近は図書館の予約本に追いまくられてて、図書館に行っても受付で予約本を受け取って帰るってこともしばしばだったりします。そんな風だっていうのに、著者の新刊に気になるタイトルを見つけちゃったら我慢できなかった;;;
本所五間堀にある夜鳴きめし屋「鳳来堂」を舞台にした江戸の人情物語。・・・って感じかな。連作短編集。
亡くなった父親の古道具屋を夜鳴きめし屋として再開した長五郎。一緒に頑張っていた母親も亡くなり、ついつい店を開ける時間が遅くなっていく。ついには、夜中から朝方まで営業している店となり、近くに住む武士や芸者に夜鷹たちがやってくるように・・・。
人情話とはいえ、宇江佐さんの描くお話は、私的にそこまで胸にぎゅーーーーっとくる感じではないんだよねぇ。もちろん、人情や優しさに癒されはするけれど、「涙が止まらないよーっ」とかってことはない。そこまで感情を揺さぶられることはない。結構、クールだったりもするんだよね。でも、何故か惹かれる・・・。何ででしょうね。自分でもよく分からないんだけど、つい手に取ってしまいます。
今作もそんな感じ。ちょっと切なかったり、胸が痛かったり、ちょっぴりほっこり出来たりはするけれど、それで涙腺を刺激されたり・・・ってことはなかった。でも、なんていうか、じわじわと沁みてくる感じではありました。いつの時代ではあっても、人は色んなものを抱えて、必死で生きているんだよなぁ・・・と、そんなことを思ったり。
連作短編集ということで、最初から最後までを貫いているのは、長五郎とかつて恋仲だった芸者のみさ吉、そしてみさ吉の息子との関係。「もしや、あの息子は俺の子か」という長五郎の疑念、「もし息子だったら・・・」という葛藤などがあり、父親としての感情が知らず知らず湧いてくる。どうなるのーっ!?と心配になりましたが、最後はにっこり笑えるラストになっていてホッとしました。良かったぁ~!
・・・と、思ったんだけどね。なーんと、このお話は「ひょうたん」というお話の続編だったらしい;;;長五郎の父親がやっていた古道具屋が舞台になっているみたい。まーた、やっちゃったよ・・・。ということで、その「ひょうたん」も早めに読みたいなぁ。長五郎のお父さんって、どんな人だったんだろう。
・夜鳴きめし屋
・五間掘の雨
・深川贔屓
・鰯三昧
・秋の花
・鐘が鳴る
(2012.06.05読了)
2012年06月13日
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