短編3部作。
あぁ、やっぱり辻村さんは好きだなぁ・・・。読み終わって表紙を撫でながらしみじみと浸ってしまった。
今作は、今までの作品と違って中高生向けということで、傷口のかさぶたをペリペリと剥がされれるような、胸を抉られるようなものではなく、結構、軽めで「青春物!」という印象。だからといって、辻村さんらしさがないってことはなく、あの頃に抱えていた不安や葛藤が痛いほどに伝わってくる作品ではありました。まさに、今の中高生に読んで欲しいと思える作品。
ちょっとネタバレ気味です。
未読の方はご注意を!!
・約束の場所、約束の時間
1作目はSF。うわ、タイムマシーンなんてモロSFだよ!と、ちょっと驚きつつ、思わず「ドラえもん」を思い浮かべたのは私だけでしょうか(笑)
この設定って、先が読めてはしまうんですが、その読めてしまった未来を思うと、彼らの友情が深まるたびに切なさが胸をかすめる。最後は思わず涙ぐんでしまった。きっと、朋彦は未来を変えられるよ!と信じたい。
・サクラ咲く
1作目がSFだったので、これもその流れ?と思ったら、全く違ってました(笑)思いっきり、ど真ん中の青春物って感じ。
図書館の本に挟んであったメモから始まった文通。うわ、なんか、いいなーと思う。誰?そして、次はどんな本から?とマチと一緒になってドキドキしちゃいました。友情や恋と絡まって、とーっても良い読後感。最初は、マチの抱えた悩みや葛藤が痛かったんだけど、最後は、ほっこりとなれて良かった。嬉しいラストでした。
・世界で一番美しい宝石
映画研究会の3人が撮影する映画のヒロインを口説く為に奔走する話。・・・で、いいのか(笑)
「学校は誰のもの」という言葉が印象的。
「図書室の君」から映画出演の条件として提示された本を探すために奔走する3人。結果的に、彼女の知られたくない過去を知り、演劇部を止めた理由を知ってしまって・・・。誰でも、触れられたくないことってある。そこを晒されることがどういうことなのか。彼女の気持ちが痛々しく辛かった。でも、最後は清々しい気持ちで読了する事が出来て良かった。
連作ということはないんだけど、3作が緩やかに繋がってる感じ。「あ、この人はもしや!・・・やっぱり~!」と、発見する楽しみと、発見した時の喜びを感じられました。特に、3作目の海野先生には「あれ?これって、もしやっ!?・・・きゃぁぁぁっ、やっぱりーっ!」と、思わずガッツポーズを作っちゃったくらい大喜びしてしまいました。そして、一平の両親の正体?が分かった時には、「うわー良かったねぇ・・・」と、思わず涙腺が緩んじゃいましたよ。いや、大袈裟ではなく、ホントに。とっても嬉しかった。朋彦、頑張ったなぁ。きっと出来ると信じてたよ!と、思わず1作目を読み直してしまった。
読了後は、懐かしく、そして、優しい気持ちになれる作品でした。
(2012.05.04読了)
2012年05月13日
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Tracked: 2012-06-05 07:37
とてもライトな可愛らしい作品でしたよね。
流石中高生むきです。
最初タイムスリップものだったので驚きました。ベタでしたけど素敵な可愛らしい友情でした。
私、リンクに全然気づきませんでした。もうとっくに手元にないので予約し直して確認しようかなぁ…残念です^^;
今までの辻村作品と違ってましたが、これはこれで良かったですねー。
私も1作目のタイムスリップ話にはビックリでした。ベタな展開でしたが、素敵な友情でしたね。
2作は1作目と同じ時代で登場もチラッとだけでしたが、3作目は1、2作目の主人公達が大人になって登場してました。機会があったら確認してみてくださいね~。
1作目だけだったら、ここまで満足できなかったと思います。2作目、3作目と読み進めるうちにだんだんハマっていきました。しっかりリンクがあったのも良かったですよねー!約束が果たされるシーンはホント、感動的でした。
表紙は…まぁ、中高生向けということで^^;