うわ~良かった!最後はジーンときた。
2012年本屋大賞にノミネートされていたので読んでみました。
18世紀のヴェネツィア。大作曲家ヴィヴァルディが音楽教師を務めた、孤児を養育するピエタ慈善院が舞台。ピエタで育ち、ヴィヴァルディの教え子であるエミーリアの元にヴィヴァルディの死が伝えられ、そして、幼馴染である貴族令嬢から一枚の楽譜探しを頼まれる。エミーリアは楽譜の行方を求めていくうちに、様々な人々と出会い、自らの封印した過去と向かい合う事になるが・・・。
1枚の楽譜から、演奏家、ヴィヴァルディの妹達、コルティジャーナ(高級売春婦)、ゴンドリエーレ、共にピエタで育った娘などなど、次々に人々が繋がっていく。その様が、なんというかね、ぱらぱら~っと”紐解かれていく”という感じで、読み進めるたびに、目の前にぱぁ~~っと様々な人や出来事の”景色”が広がっていくようでした。そうきたか、そっちにいくのか、そうなるのかと、ワクワクドキドキ、時にハラハラしながら、先へ先へとページを繰る手が止まらない。もう、止められない。
楽譜を求めるエミーリアには、封印した過去があって、その過去も徐々に明らかになっていく。エミーリアが4人家族を見送った場面では、こっちまで胸がぎゅーっとなって切ない気持ちになりました。過去は過去。人はみんな、前へ前と歩いていくし、自分と共にいる人と人生を創っていくものなんだ。そうしながら、気持ちも変化するし、思い出に変えるものは変えていかなければいけない。人はずっと同じ気持ちではいられない。
そして、一枚の楽譜の行方と、そこに書かれた詩。なんとーっ!?と叫びそうになった。・・・ま、実際には叫ばなかったけど(笑)その詩のフレーズに、涙が溢れ出て止められなかった。楽譜がどうやって渡っていったのか、どうしてそこに辿り着いたのか、そして、その詩。様々なことが絡み合って、胸に迫ってきました。
むすめたち、よりよく生きよ。
むすめたち、よりよく生きよ。
よりよく生きよ。
よりよく生きよ。
(p323)
人は自分の生れ出でる場所を自ら決められないし、なかなか自分の思う通りには生きられない。親や恋や仕事や、その他いろんなこと。人生はままならないものだ。でも、自分が今いるその場所で、よりよく生きようとすることは出来る。そうしなければ。そして、あの人やあの人やあの人・・・にも、そうして欲しい。
私の周りにいる人々の幸せを心から願う。
はぁ~良い読書が出来た。しみじみ思う。。。
(2012.02.29読了)
2012年03月03日
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本「ピエタ」
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Weblog: <花>の本と映画の感想
Tracked: 2012-03-15 20:00
天野純希さんのを読みたくて買った『ぼくの歌が君に届きますように』という短編集に、この人の、おそらくこのシリーズの一編が入っていました。
読んでみたいなぁ。
あ、そうそう!その1編がプロローグになってるみたいだよー。ぜひぜひ。
まさか、あんな所から、楽譜が見つかるとは、驚きでした。
「むすめたち、よりよく生きよ。」というその詩に、心打たれました。
時代や環境は違うけれど、私たちにも通じるものがありますよね。
良いお話でしたね!
それにしても、楽譜の行方にはビックリでしたよねー。そして、あの詩は心に沁みましたね。私も「よりよく生きる」という気持ちで日々を過ごしていかなければと思いました。