大学生5人を描いた連作短編集。
朝井さんって、ホントに男子大学生なのかっ!?とまたしても疑いたくなってしまった(笑)あ、今年の春で大学は卒業されるらしいですけど。だってさ~、自分と同年代の若者を描いているんだけど、その心情とか、鬱屈とか、その他諸々がとても繊細に描かれているんですよー。同年代だっていうのに、この俯瞰したような、第三者的な描き方が出来るっていうのが凄いな~と思う。私がこの年代の頃って、ただただ必死で自分や他人の言動の裏側にあるものを読み取ったりとか、そんな芸当は全くと言って良いほど出来なかったよなぁと思うんですよね。まぁ、だからこそ、私は読む人、朝井さんは書く人になったんでしょうけど(笑)ただただ、凄いなーと思った。これからどうなっていくのか、考えるとちょっと恐ろしい・・・。
描かれている5人の男女は、繋がってないようでいて、みんなが繋がっている。章が変わる毎に、今度は誰が描かれるのかな、どんな繋がりがあるのかなと、ワクワクドキドキしながら読めた。彼かしら?彼女かしら?と予想するのが楽しかった。まぁ、ほとんど外れてたけど(笑)
それぞれが、不安や焦りなど色んな思いを抱えて立ち尽くしている様子に、「あ~分かるなぁ」とか、「そんなこともあったなぁ・・・」と共感しつつ、時には懐かしく、時には苦々しく、自分のあの頃を思い返す読書となったような気がする。共感するよりも、振り返る事の方が多かったような気がするのは、自分が20歳から随分と歳を重ねてきているせいなんでしょうね。・・・と、そんなことを思ったら、なんだか複雑な気分になっちゃいますけど(笑)
最後には、出会いや出来事からそれぞれが何かしらを感じ取って、前に進めるような、一歩を踏み出そうとするような、そんな様子が見れて良かった。これから、まだまだ色んなことがあるだろうけど、これからもそうやって一歩を踏み出せますように・・・。そんなことを願いながら読了。
そういえば、気になるのは最初に登場したカップル。あの後、どうなったのかなぁ・・・。そして、絵を描く兄とダンス専門学校に通う妹のその後も気になったり。二人の気持ちが上手く通い合えるといいなぁ・・・。
・ひーちゃんは線香花火
・燃えるスカートのあの子
・僕は魔法が使えない
・もういちど生まれる
・破りたかったもののすべて
(2012.02.24読了)
2012年02月29日
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ホント、大学生とは思えませんよね~。凄い文才です。
でも、出てくる20歳の男女に共感できるところはありますが、理解できないところも多々あったので、それは若さかなぁと思いました^^;
人の心情を書くのが上手いですよね。それぞれの人の葛藤がとても伝わってきました。
朝井さん、ホントすごいですよね~!
それぞれの心情が伝わってきて、色々と自分のあの頃を思い返してしまいました^^;
>朝井さんって、ホントに男子大学生なのかっ!?とまたしても疑いたくなってしまった(笑)
いや、ほんと私も思いました。男性でこんな風な瑞々しさを兼ね備えてる方って珍しいような。
こういう連作は、ほんと次は誰だ誰だっていう楽しみがありますよね。すごく楽しかったです、読んでて。
朝井さんび作品を読む度に本当に男性なの!?と疑ってしまいたくなりますよねぇ(笑)そこが、作家さんたる所以なんでしょうけどね。
連作集は次は誰かな、ってあれこれ想像するのが楽しいですよね。外れると悔しくなっちゃうこともありますけど(笑)