2012年01月26日

こいわすれ(畠中恵)

まんまこと」「こいしり」に続くシリーズ3作目。

えぇっ!?と絶句。まさか、こんなに暗い気持ちで本を閉じる事になるとは思わなかった。後味が悪すぎだよ;;;


え~ネタバレありです。
未読の方はご注意を。









江戸町名主の跡取息子である麻之助が、舞い込んでくる揉め事を親友と共に解決していくという部分は変わりはないんですが、今作ではなんといってお寿ずの懐妊と麻之助が父親になるという自覚を徐々に持ち始める様子が描かれているのが良かった。

前作まではお由有への気持ちを引きずっているように感じられた麻之助だったんですが、今作では端々にお寿ずへの愛情が垣間見れて、あ~この二人も夫婦になったんだなぁと、なんていうんでしょう、ホッとしたというか、ほっこりした気持ちになれました。麻之助が妊娠中のお寿ずをあれこれと心配する様子が微笑ましかった。


・・・んですが、まさかまさかの展開に読んでるこっちが呆然。まさかこんな展開になるとは思わなかったよ。せっかく、麻之助とお寿ずが産まれた子供を囲んで笑っているという微笑ましい姿がすんなりと想像出来るようになってたところだったのに・・・。著者はどうしてこんな展開にしちゃったのかなぁ。読んでて辛すぎる。たしかに、出産って安全ではなく、むしろ危険がつきまとうものだっていうのはよく分かってるんですよ。現代でもそうなんだから、江戸時代はもっと危険を伴うことだったんだろうとは分かる。分かるけど、よりにもよって!このシリーズでそうなっちゃわなくてもいいのに・・・。あまりの展開に愚痴というよりクレーム付けたい気分になっちゃいました。

それもさ~、お寿ずと子供の二人ともってのが;;;せめて、どちらかでも・・・と思ってしまいます。

このシリーズ3作目の最初の1編は、いなくなった子供が河童に連れさられたと言い募り、何年も探し回る親の姿が描かれていました。そして、最後の1編は麻之助が・・・。大切な人がいなくなったと認めるのが、いかに辛く容易ではないってことが最初から最後まで描かれていた今作でした。

このシリーズは今後も続くんでしょうか。それは、どんな風に?
読了して1週間程が過ぎたんですが、まだまだ気持ちの整理がついてない、そんな感じです。
本当に切なく辛い作品でした。


・おさかなばなし
・お江戸の一番
・御身の名は
・おとこだて
・鬼神のお告げ
・こいわすれ


(2012.01.19読了)




こいわすれ
文藝春秋
畠中 恵

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ラベル:著者(は) 読書
posted by すずな at 05:40| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは^^
衝撃な結末でしたよね~。お気楽な麻之助が変わっていく感じのが見えてほほえましかったんですけども。
何かの雑誌のインタビューで畠中さんが言っていたのですが、しゃばけとは違ってちゃんと時の流れを見せたかったのであのシーンは必要だったと言っていました。
次回は麻之助が立ち直っていくらしいです。
お由有といつか結ばれないかなと第2弾までは思っていましたが、こういう形になってしまうとそう思っていた事に罪悪感を覚えます^^;
Posted by 苗坊 at 2012年01月26日 09:40
>苗坊さん
本当に衝撃な結末でしたね。最初は麻之助の姿が微笑ましかったのに、まさかの展開に…;;;
作者が必要と言われるのなら必要なんでしょうが、出来れば入れて欲しくなったというのが本音です。次作は立ち直っていく麻之助の姿が描かれるんですね。読みたいような、読みたくないような複雑な気持ちです。。。
Posted by すずな at 2012年01月26日 12:56
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