最後まで一気に読めちゃうくらい面白かった!んだけど、最後まで読むとモヤモヤが残っちゃうという、なんともびみょーな読後感でした。
なんといっても、その設定が面白い。夢が記憶され「夢札」としてデータ化される時代。その夢を「獏」という装置を使って解析することを「夢判断」と呼び、それを職業とする人たちがいる。もうね、のっけからそんな設定を語られたら、ワクワクしちゃうってもんですよ。
「夢判断」を職業とする浩章は、各地の小学校で頻発する集団白昼夢事件に関わった小学生達の夢の解析をすることになった。そこには、烏と予知夢を見る事の出来た女性が登場する。その女性は浩章の兄の婚約者で火災事故に巻き込まれ亡くなっていた結衣子。浩章は夢を追い奈良の吉野へ・・・。
夢判断、子供たちの夢に登場する烏に既に亡くなったはずの結衣子。そして、現実にもその女性の姿が様々な場所で目撃され、夢と現実が溶け合って曖昧になっていく・・・。途中まではまったり~って感じで、読み進めるのにちょっと苦労した部分もあったんですが、途中から怒涛のような展開に夢中になって読みました。ドキドキワクワク、そして、ヒヤヒヤゾクゾク、どうなるの?どこに向かってるの?と、目が離せない展開を堪能できました。
・・・と、すっごい楽しめたんですが、ラストがねぇ;;;
結局、烏とか鳥の足とかには何の意味があったんでしょうか。そして、どうして小学生達ばかりが集団白昼夢を見ることになったんでしょうか。それから、浩章の妻は最初に鋭い勘を働かせたにも関わらず、途中から全く登場しなかったんだけど、彼女はどうなったんでしょうね。最後は浩章と結衣子の二人が再会してめでたし、めでたし・・・って感じで終わったんですが、彼女のことが気になって、私的には全く「めでたし」っていう気分にならなかったんですけど;;;なんていうか、結構、壮大な物語だったはずなのに、最後は陳腐な昼ドラみたいになってしまったって印象が拭えないんですけど、ねぇ。
ということで、本当に楽しめた作品だったんですが、ラストでスコッとこけちゃったって感じで、なんとも締まらない、モヤモヤの残る読書となってしまいました。うーーーん;;;
(2012.01.08読了)
2012年01月18日
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久しぶりの恩田さんの新刊!と思って楽しみにしていたのですが、いや、面白い部分もあったのですがいろいろモヤモヤする部分が多すぎて読み終えた後もモヤモヤしっぱなしでした。
私もべるさんと同じく恩田さんには直木賞を獲ってほしいですが、この作品じゃなくて良かったとも正直思ってしまいました^^;
確かにぐるぐる同じところを読んでる感じがしましたね~。
このモヤモヤ感が恩田さんらしいと言えばらしいんですが、やっぱりもうちょっとスッキリさせて欲しかったと思ってしまいます;;;
私は直木賞にノミネートされた後に読んだんですが、「これはないな」と思っちゃいました^^;
恩田さんにも獲って欲しいんですけどね…。
私も久々の恩田さん新刊♪と思って読んだんですけどねぇ。おっしゃるように面白い部分もあったんですが、それを上回るモヤモヤ感がなんともかんとも…でしたね。
読了後、直木賞は獲って欲しいけど、これで獲れたら…と複雑な気分になりました。