淡々と進む物語なのに、いつの間にやらぐいぐいと惹き込まれ・・・気付いた時には読了。まさに一気読みでした。
東京に老舗料亭で修行していた紫紋は、ある事件をきっかけに全てを失ってしまった。そんな紫紋が死に場所を探して辿り着いたのは「尽果」というバス停。そこで出会ったのはマリアと呼ばれる女性。マリアの左手に薬指はなく、そこには大きな秘密があるよう。そして、尽果の人々との交流の中で紫紋の心は少しずつ癒されていき・・・。
もうね、あらすじを読んだだけで展開が読める、そんなお話なんですが(笑)それがいいんですよねー。とはいえ、ただのお涙頂戴話とはちょっと違ってて・・・。結構、ドロドロだし、予想通りに進まなかったりもする。もちろん、予定調和内で収まってはいるんですけどね。
物語は淡々と進んでいく。日々が、そして季節も淡々と進んでいく。小料理屋が舞台ということもあって、季節毎のお料理も美味しそうなんですよねー。読みながらお腹がぐーぐーと鳴っちゃうんじゃないかと心配になるくらいでした。
紫紋が尽果という地や、小料理屋「まぐだら屋」での生活に慣れた頃、かつての紫紋と同じように辿り着いた青年。彼に複雑な感情を抱きつつも再生へと向かうよう手助けをしていく様子に、紫紋の変化を感じ、物語が終息へ向かっているという一抹の寂しさも味わう。
そして、明かされたマリアの過去。・・・いや~これはねぇ。読みながら、激しさと壮絶さに絶句でしたねー。まさかそこまでとは思わなかった;;;また淡々とした文章が余計に胸に迫ってくるという感じでもありました。
最後はもうね、涙腺が緩んでしまって・・・。最初から予想してた通りの展開に、ほぼ予想通りのラストであったんだけど、自分でもびっくりするぐらい涙、涙でした;;;
切ないながら、人の優しさを感じられる、そんな作品。人は人に癒され、包まれているんだなーと、そんなことを感じたりもした1冊でした。
(2011.09.20読了)
2011年09月25日
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本「まぐだら屋のマリア」
Excerpt: まぐだら屋のマリア 原田マハ 幻冬舎 2011年7月 まぐだら屋のマリア/原田 マハ ¥1,470 Amazon.co.jp “尽果”バス停近くの定食屋「まぐだら屋」。様々な傷..
Weblog: <花>の本と映画の感想
Tracked: 2011-09-29 20:38
ラストに向けて、こうなるであろう展開は読めるのですが、最後の方は、涙腺が緩みました。
情景描写がうまいのでしょうね。
感情移入してしまいました。
マリアの過去は想像をはるかに超えて重かったですよね;;;まさに絶句でしたね。
展開は読めるものの私も涙が止められず^^;ついつい惹き込まれてしまいました。