「家日和」に続く平成の家族小説シリーズ第2弾。短編集。
完璧すぎる妻のおかげで帰宅拒否症になった夫、どうやら夫は仕事が出来ないらしいと気付いた妻、両親が離婚するらしいと気づいてしまった高校生の娘、夫から「UFOが見える」と告げられた妻、新婚夫婦の初里帰り、妻がマラソンに目覚めた作家の夫など6つの家族が描かれている。
まさか「家日和」の続編となる短編集が出るとは思ってなかったので、これは嬉しかったですねー。前作同様、今回も様々な家庭がユーモアを交えて描かれ、ちょっと切なさを感じながらも、最後は「家族って良いな~」と思わせる作品でした。それぞれの家庭でさまざまな問題が起こりますが、どの家庭でもその家族らしく解決していくのがいいんですねー。家族の数だけ解決方法があるんだなぁと、そんなことを改めて感じました。
特に好きだったのは「夫とUFO」「里帰り」かな。
「夫とUFO」では、最後の妻の行動がすっごく突飛過ぎるんだけど、夫への愛情が妻をこんな行動に駆り立てる訳で。「愛ってスゴイなー」と素直に感じられました。ま、読みながら大笑いしちゃったけどね~(笑)でも、最後にはちょっとホロリともさせられました。
「里帰り」は、新婚夫婦がそれぞれの実家に里帰りする中で感じた戸惑いを描いてあるんだけど、最後はお互いの家族や親戚、その家のしきたりを「こういうのも良いなー」と感じる。読んでて「あ、そういう感じ方もあるのか~」と目から鱗でした。私にはそういう経験はないので、一般の感覚から「配偶者の実家への里帰りは苦痛」としか思ってなかったんですが、そう思う人だけじゃないんでしょうね。
あと、最後の「妻とマラソン」は夫が作家というだけあって、ついついご本人のエッセイ風?とアレコレ深読みしてしまったんですが。実際はどうなんでしょうね。ちょっと気になったり~(笑)前作でも「ロハスにハマル妻」が描かれてたんですが、同じ家族だったのかな・・・というのも気になったり。ちょっと自分の記憶にないのが悔しい;;;最後は東京マラソンに挑戦する事になった妻に、夫や二人の息子が大声援を送るんですよね。その場面が本当に微笑ましくって温かい気持ちにさせてくれました。
いろんな家族を描いた6編。どれもがハッピーエンドって訳ではないんだけど、それでも最後は「あ~家族っていいなぁ・・・」と思える、そんな作品集でした。
・甘い生活?
・ハズバンド
・絵里のエイプリル
・夫とUFO
・里帰り
・妻とマラソン
(2011.09.11読了)
2011年09月14日
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「家日和」は未読なんです~。見てみたいとは思っているのでいつか読みます。いつになるかしら・・・^^;
それぞれハッピーエンドではないのですがいろんな素敵な家族の形が見えましたよね。家族っていいなって思いました。
最後の作品が1番お気に入りなのですが、もしやエッセイなんですか?^^;そう考えると面白いですね。
「家日和」はすっごく面白くって笑いっぱなしだったような…。楽しいですよー。機会がありましたら、是非!
家族っていいなーと思えるお話ばかりでしたね。
最後の作品は、主人公が作家さんと言うことで「エッセイ?」という期待が膨らんでしまって(笑)でも、ホントのところはどうなんでしょうねー。
ラストの作品、べるさんもでしたかー!同じ作家さんだったので「同じ家族?」と思ってしまったんですが…。今度、機会があったら確認してみなきゃ~。
家族愛を感じる作品ばかりでしたね。ホント、こんな家族を築きたいですね~。