東日本大震災、阪神淡路大震災を経験した筒井康隆、高橋克彦、玄侑宋久、真山仁、近藤史恵、瀬名秀明、有川浩という7人の作家さん達によるアンソロジー集。『今こそ物語の力を、物語に力を-』というコピーから編集者や作家さんたちの思いが伝わってくる。
震災をテーマに書かれている作品が多いのも特徴。なので、読んでてツライなーと感じる作品もあった。でも、現実はもっともっと悲惨で残酷だったんだろう。そんな思いを抱えつつの読書でした。
それぞれの作品について、ちょっと感想など。
・繁栄の昭和(筒井康隆)
筒井作品は初めてじゃないと思うんだけど、いつ、何を読んだか分からないくらい、読んだのは随分前ですね。・・・って、実は未読だったりして;;;
そして、・・・・うーーーん。これはちょっと合わなかったかなぁと思える作品でした。
・さるの湯(高橋克彦)
高橋作品も久しぶり。
東日本大震災をテーマに書かれた作品。まさかそういうオチだとは!真相が分かった時には驚きと同時に切なさが・・・。最後はホロリ。
・蟋蟀(玄侑宋久)
初読み作家さん。福島県生まれ。福聚寺住職。現在も被災地に身を置いていらっしゃるそう。
これは本当に読んでてツライ作品でした。リアルすぎる。東日本大震災の様子がありありと描かれているという点ではこの雑誌の中で一番でした。どうして主人公のお父さんが「くるくる和尚さん」と呼ばれるようになったのか。意味が分かったところでは、もうね、言葉が出てこなかった。頭が真っ白になったというか、固まった。どんっと胸を突かれた心地でした。
・わがんね新聞(真山仁)
初読み作家さん。東日本大震災の被災地に派遣された阪神淡路大震災を経験した教師を描いた作品。
これはねー、ついつい涙腺が緩んでしまって・・・。子供たちの思い、そんな子供たちを見守る大人たちの思いが・・・。「蟋蟀」同様、小説と言うよりドキュメンタリーを読んでるような気分でした。
・漂流するピアノ(近藤史恵)
阪神淡路大震災の被災者が東日本大震災をキッカケにあの時を思い返し・・・という内容。
前2作品と違っているのは、時間の経過と渦中にいないからこそ、の思いかな。最後の「漂流するピアノ」の写真の記述が印象的。その光景を想像すると私も孤独と美しさを感じる。まさに距離と傍観だな、としみじみ思った。
・ホリデイズ(瀬名秀明)
この作家さんの作品も久しぶりに読んだ。パイロットが主人公のお話で、専門用語がバンバン登場しちゃうので、ちょっと読みにくかった。いまいちピンとこないっていうかね・・・。ついつい飛ばし読みみたいにして読んだので、こうやって感想を書こうとするとあまり言葉が出てこない;;;
・ヒア・カムズ・ザ・サン parallel(有川浩)
小説新潮2011年6月号掲載の「ヒア・カムズ・ザ・サン」のパラレルストーリー。この作品だけは別記事にて。
コピー通り「物語の力」をヒシヒシと感じた1冊でした。
(2011.09.10読了)
2011年09月13日
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