2011年02月27日

ふがいない僕は空を見た(窪美澄)

第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞作である「ミクマリ」を最初の章にした、連作短編集のような作品。

2011年本屋大賞ノミネート作。・・・未読はこれを入れてあと2作。これの前に読んだノミネート作が全く合わなかったので、かなり不安を抱えながら読んだ。

「女による女のためのR‐18文学賞」ということなので、最初は「どっしゃぁ~」と思うくらいに、あけすけな性描写に多少は引きつつ、読み進めた。なんたって主人公の少年を人妻がアニメの主人公にコスプレさせてセックスするって話なんだもん。うわぁ~きたぁ、って感じでした。ところが、流石に大賞受賞作。最初は引いたものの、読み進めるうちにそんなことは気にならなくなって、あとは最後まで一気読みって感じでした。

最初の章で主人公だった少年が中心に描かれているのは最後まで変わらないものの、章毎に主人公が変わっていく。少年にコスプレさせてる人妻、少年に恋する少女、少年の友人、そして、助産院を営む少年の母親。それぞれを描きつつ、それぞれの視点で少年が語られていく。少年だけではなく、少年を取り巻く人々の、それぞれのもどかしい思いが、切なく胸に響いてきました。

最後は思わずホロリ。ジーンとして、涙腺が緩んでしまった。まさかこの作品を読んで泣けるとは思わなかったなぁ。切なくはあるものの、優しく温かさも感じる作品でした。

とっても、良かった。面白かった。



(2011.02.23読了)




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ラベル:読書 著者(か)
posted by すずな at 07:37| Comment(2) | TrackBack(3) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すずなちゃんのレビューを読んでから、読んでみたかったこの本を読み終えました。
すごく泣きたい気分なので、ぴったりでした。泣けた~っ。
でも、大人の身勝手に腹が立ったーっ!
いろいろと気持ちが揺さぶられるいい作品でした。
Posted by 香桑 at 2012年02月21日 16:16
>香桑ちゃん
お~そうでしたか!気に行ってもらえたようで良かったです♪
ホント、泣けたよねぇ。そして、そうだね、大人の身勝手さにも腹の立つお話だったね。
Posted by すずな at 2012年02月22日 12:41
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書籍「ふがいない僕は空を見た」何もかもうまくいくことなんかあり得ない
Excerpt: 「ふがいない僕は空を見た」★★★★ 窪 美澄 著 , 新潮社、2011/5/2、13版 ( 232ページ , 1,470円) <リンク:<table border="0" cellpadding="0" cellspacing="0">【送料無料】ふがいない僕は空を見た価格:1,470円..</table>
Weblog: soramove
Tracked: 2011-05-20 09:24

性と生
Excerpt: 小説「ふがいない僕は空を見た」を読みました。 著者は 窪 美澄 第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞 ということで性描写もあるのだが それよりも文学としてしっかりと ストーリーとし..
Weblog: 笑う学生の生活
Tracked: 2012-01-13 22:22

ふがいない僕は空を見た
Excerpt: 窪 美澄 2010 新潮社 大声をあげて泣き出したい。主人公たちと一緒に泣き出したくなった。泣かないと、心の中の水位を下げてしまわないと、これ以上、涙を溜めていられない。手を噛んで、嗚咽を殺す。残った..
Weblog: 香桑の読書室
Tracked: 2012-02-21 16:02