警察内部の犯罪を追う監察官を描いた連作中篇集。
乃南さんお得意の警察小説ですが、今までとはちょっと趣が変わって、警察官の犯罪を追う監察官のお話。ほとんどが、犯罪を犯す警察官の視点で描かれているので、彼らがどうやって犯罪に手を染めていったのかという過程が垣間見えて興味深いというか・・・。ホントに些細なキッカケから、思ってもみない方向に向かってしまうもんなんだよなーと実感した。
まぁ、警察官なんだから、最初はやっぱり「犯罪を犯そう」なんて思ってない訳で。それが、些細な事柄から、坂道を転がるように・・・という表現がシックリくるような顛末に陥ってしまうんですよねぇ。まぁ、それだけじゃなく、周囲への不満から・・・という場合もあったけど。警察官だって、生身の人間なんだ、弱く脆い部分も持ち合わせている人間なんだ、と、そんなことを改めて感じさせられました。
最後のお話は、監察官の女性が被害者になるお話。これだって、警察官とは言っても、やっぱり普通の女性なんだよなーと思えるお話でした。こういうことをされても毅然と振舞える人って言うのは、極僅かなんだろうと思うんだけど、警察官という職業柄、そういう毅然と振舞える人ばっかりだという印象を持ってたんですよね、正直。でも、やっぱり恐い事は怖いし、気持ち悪い事は気持ち悪い。冷静に対処するっていうのは、なかなか出来る事じゃないんだろうなぁと思えました。でも、警察官ですからね。周囲に相談すれば、すぐに対処してもらえるのはいいな~とは思ったけれど。
これはシリーズ化しても面白そうですが、どうかな。
・禁猟区
・免疫力
・秋霖
・見つめないで
(2010.11.30読了)
2010年12月13日
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