あ、あれ?あれれれれ?
宮下さんはデビュー作から追いかけている作家さんで、新刊が出る度に楽しみにしてたんですよね。私の大好きなワクワクドキドキの胸躍るようなお話ではないんだけど、じわじわと心に沁みて、読んだ後に「良いお話を読んだなぁ・・・」としみじみと思える作品ばかりで。ところが、今回のお話は、正直そんなに沁みる訳でもなく、何かが胸に迫る事もなく、淡々と進み淡々と終わってしまった、そんな印象を受けてしまいました。・・・うーーーーん。
夫の突然の「うつ病」と「田舎へ帰る」宣言に戸惑いつつ、夫と共に田舎へ移り住み、そこでの生活に不満を感じつつもなんとかやっていこうとする梨々子。転居の時に貰った10年日記に、その時の思いを綴りつつ日々を過ごしていく・・・。
連作短編集のような構成で夫の田舎での生活の10年が綴られている。・・・10年。10年かけて主人公の心情の変化が綴ってあるんだけど、本当にゆっくりとした変化しか感じられない。最後の章で「ここまでくるのに10年も必要だったのか?」なんて疑問も感じてしまったんですよねぇ・・・。ちょっとゆっくりすぎるような気もしないでもない。まぁ、この主人公の梨々子には、その年月が必要だったんだと言われればそれまでなんだけど、同じように長い年月を綴ったデビュー作「スコーレNo.4」では、そんなことは感じなかっただけどなぁ・・・。
・・・と、なんだか、かなり辛口ですが。
宮下さんらしく主人公の揺れ動く心が丁寧に描いてあって、まぁ、それなりには楽しめたとは思います。ただ、元々こういうジャンルが苦手な私にとって、じーーーんと感動出来ない、じわじわっと沁みるものがそこまで感じられない小説というのはね、ちょっと、ねぇ・・・なのであります。「だからなに?」と思ってしまうんだよねぇ・・・。最後の締めくくりの文章も私的には唐突な印象で、そこまでの言葉が当てはまる作品だったかなぁ・・・なんて、ちょっとイジワル目線で読了しちゃったのでした。
宮下作品ということで、期待が大きすぎたのかなー。うーーん、残念。
(2010.12.17読了)
2010年12月31日
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