2010年12月01日

陰日向に咲く(劇団ひとり)

著者デビュー作。短編連作集。

芸人さんだからなぁ~と敬遠していた劇団ひとりさんだったんですが、先日読んだ「晴天の霹靂」が思った以上に良くってびっくり!早速、このデビュー作も読んでみました。

うん、良かった。

簡潔で読みやすい文章は、ともすると「下手くそ」な印象を受けてしまうんですが、この方が紡ぐと「そこが魅力なんだよな~」と思えちゃう。不思議ですね~(笑)で、簡潔で読みやすいこともあって一気に読了。途中、ついウッカリ涙腺を刺激されちゃったりもして。ジーンと心に沁みる作品でした。

最初は、それぞれ個性的な登場人物に「なんだこの人!?」とか思ったりもするんだけど、読み進んでいくとその違和感みたいなものがなくなっていくんだよね~。で、気が付くと、その人物にすっかり感情移入してしまっている自分がいてビックリ。そんな繰り返しでした。

短編から短編へと登場人物がリンクしていく。そのリンクも上手かった。「お~そうきたか!」と意外性もあったり、嬉しくもあったり。特に「ピンボケな私」から「Over run」へのリンクは「あの人か!」とかなり意外で、この選択には唸らされました。

この作品は連作ということで、短編同士の繋がり具合に楽しませてもらいましたが、どのお話も単独の短編としても上手くって、連作になってなくても充分に楽しめたんじゃないかな~と思います。どの作品も、最後に驚かされたり、泣かされたりと、オチにハズレがないって感じでした。これがデビュー作なんですよねぇ。ホント凄いな~。

特に好きだったのは「Over run」かな。これはもうね・・・涙腺決壊って感じでしたよ。こういうのは弱いんですよねぇ。弱いんだけど好きなんですよね~(笑)

読み終わって、素直に「良いお話を読んだな~」と思える作品でした。今後の作品が楽しみな”作家さん”に出会えたな~と思えました。次作が楽しみ。



・道草
・拝啓、僕のアイドル様
・ピンボケな私
・Over run
・鳴き砂を歩く犬



(2010.11.18読了)



陰日向に咲く
幻冬舎
劇団ひとり

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ラベル:読書 著者(か)
posted by すずな at 05:12| Comment(4) | TrackBack(2) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは^^
おお!読まれたのですね!
いいですよね~^^私はこの本を読んでから、一時期劇団ひとりがかっこよく見えて困りました^m^
出てくる人たちが違う作品で関わっていたり、この2人はこういう関係だったのか!?と驚いたり、上手いなと思いました。
文章は荒削りかもですが、良いですよね~^^
好きです~
Posted by 苗坊 at 2010年12月01日 09:41
>苗坊さん
はい!「青天の霹靂」を読んで、すぐに図書館に予約を入れました!
たしかに、私も今度から劇団ひとりさんがカッコよく見えるような気がします~(笑)って、何気に失礼発言のような…^^;
作品同士のリンクが上手かったですね~!意外な人が繋がってて楽しめました。
次作が楽しみです~♪
Posted by すずな at 2010年12月01日 12:54
高評価で良かったです~(*^^*)。これ、ほんと良く出来てましたよね。一編づつも短いけれど温かいお話だったし、すべてが繋がるラスト一編の巧さには脱帽でした。デビュー作でこれだけ書けてしまうと大抵二作目でガッカリ・・・ってなることが多いけれど、この方の場合は二作目もしっかり読ませてくれたので、やっぱり才能あるんだな、と嬉しくなりました。今後の作家としての活躍にも期待したいですよね^^
Posted by べる at 2010年12月02日 22:46
>べるさん
いや~ホントに良かったです!良すぎてビックリしちゃったくらいです(笑)短編としても、ひとつの作品としても、どちらも巧くって、ついついホロリとさせられちゃいました。
そして、私は前後逆に読んじゃったんですが、二作目も本当に読ませる作品で…。次作が楽しみですね♪
Posted by すずな at 2010年12月03日 12:37
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